
HOME > 雨漏りを防止する屋根の防水紙の重要性とお薦めの「アスファルト.....
更新日 : 2024年01月24日
更新日 : 2024年01月24日
雨漏りを起こす原因は実は屋根材の劣化ではありません。
正しく言えば、その下地材でもある防水紙(ルーフィング)に異常が起きているからなのです。
性能が伴っていない防水紙(ルーフィング)を使用していれば、せっかく高耐久の屋根材を使用しても雨漏りを起こす可能性があるのです。
屋根リフォームをお考えの方へ、防水紙とは何か、どのような種類が防水紙にあるのか、また私たち街の屋根やさんがお薦めする防水紙についてご紹介いたします。
目次【表示】
「数年前にちょっとだけ雨漏りしたけど、その後は何も問題がない」という方、そのケースはおそらくは防水紙が問題を抱えています。
屋根は表面の瓦やスレート(コロニアル・カラーベスト)、金属だけでなく、その下の防水紙でも雨漏りを防いでいるのです。
むしろ雨水の大半は屋根材が防いでいますが、雨漏りの決定打となるわずかな雨水の浸入を防いでいるのは防水紙(ルーフィング)という事を覚えておきましょう。
ほとんどの方は屋根の表面に葺かれた屋根材で雨のお住まいへの浸入を防いでいるとお考えでしょう。極端な降り方をしない雨に限っては概ね正解です。
瓦が割れて雨漏りを起こしてしまった、瓦を差し替えたら雨漏りが改善した。このような経験をされた方であれば屋根材が雨漏りを防いでいる、そう考えていても不思議ではありません。この正しい答えは「傷んでいる防水紙の部分を運よく新規の瓦が保護したから雨漏りが止まった、ように見えている」です。 実際にこの後雨漏りが起きないという住宅もあるため、屋根材の破損が雨漏りを引き起こすといっても過言ではありません。ただし今回はもっと根本的な部分のお話です。
お客様の中には「話が大袈裟で嘘っぽい」と思っている方もいるでしょうが、これは真実なのです。
例えば、瓦屋根のお住まいで点検のために瓦を外すと必ずといってよいほど砂などの埃が溜まっています。砂などの埃が屋根材の下に侵入してきているということは雨水が浸入してきても不思議ではありません。砂の入る隙間があるなら、雨水が入る隙間もあるということです。
前述の「数年前にちょっとだけ雨漏りしたけど、その後は何も問題がない」というケースは強風や風向きなどでたまたま防水紙が傷んでいた部分に雨水が浸入してきたのでしょう。
その後、雨漏りは発生してないということですが、風向きや雨量などに恵まれているだけかもしれません。数年前に雨漏りしたというなら、その時以上に防水紙の老朽化が進んでいてもおかしくはありません。
ここまでの話で大事なのは「どこで」「雨漏りが起きたか」です。
例えば吹き込むような雨の日、窓ガラスの隙間から雨漏りが起きてしまったのであれば原因はサッシです。同じような日、小屋裏が濡れているけど野地板に雨染みがない、このような場合は屋根ではなく換気口等が原因の可能性もあります。しかし天井から雨漏りが発生し野地板も濡れている、この場合原因は換気棟の施工不良でもない限り屋根1択です。
そしてなぜ雨水が入り込んできたのかに関しては「防水紙が傷んでいるから」なのです。
屋根材が破損しているせいで防水紙が傷んでしまった。飛来物によって防水紙が破れてしまった、経年劣化によって防水紙に捲れや破れがある。経緯は様々です。しかし雨漏りの原因は統一して【防水紙の劣化】なのです。
お住まいの雰囲気を決めて雨水を受け止める屋根材の役割は大きいですよね。非常に重要です。しかし屋根材の本来の目的は「美観性の向上」と「防水紙の保護」です。屋根材がボロボロになっていようと防水紙が健全であれば雨漏りは起こしません。対して屋根材を葺き直しても防水紙が傷んでいれば、わずかでも雨水が内部に入り込んでくれば雨漏りを起こす可能性があるのです。
屋根材のメンテナンスは行わなくても良いといっているわけではありません。屋根材のメンテナンスを行う際には必ず、防水紙の寿命・劣化を考慮して行わなくてはならないという事です。
ここまでで防水紙の重要性はご理解いただけたかと思いますが、実際にどのような防水紙があるのか、またリフォーム時にどの防水紙が使用されるのかを気にして工事に臨んでいる方は非常に少ないです。そこで現在使用されることの多い防水紙の種類とオススメをご紹介したいと思います。
フェルトにアスファルトを染み込ませ両面からアスファルトで覆い、更に両面に鉱石紛を固着させたもので、価格はお安めです。新築などでは見えない部分でコストカットをするため、こちらの防水紙が使われることが多いようですが、ひと昔前は更に安価なアスファルトフェルト(両面アスファルト・鉱石粉加工がない最安の防水紙)だったため性能は格段に向上しています。
寿命は15~20年前後です。
アスファルトの他に合成ゴムや合成樹脂を加えたもので、耐久性が高いのが特徴です。温度変化にも強く、伸びや曲げへの追従性、収縮性も高いのでお勧めです。改質アスファルトルーフィングと一言で言っても種類は豊富です。
通常のものであれば寿命は20年超ですが、田島ルーフィングのマスタールーフィングは60年以上の寿命を持つといわれています。
比較してみると寿命が長いほうが良いですよね?しかし実際は使用したい屋根材の耐用年数と合わせて防水紙を決めることが重要です。
屋根葺き替え工事を行う場合、少なからず下地の防水紙も傷めてしまいますので通常は防水紙も葺き直します。化粧スレートの耐用年数はせいぜい30年ですが、マスタールーフィングを使用しても寿命まで使えず葺き直すことになってしまいます。わざわざ高価な防水紙を使用する必要はなかったという結果になるのです。 防水紙を決める際にはどの屋根材を使用するのか、次回のメンテナンスはいつ頃行う予定なのかを大まかにでも決めておいたほうが良いでしょう。
《ちなみに…》
屋根は防水紙が守っていますが、外壁は透湿防水シートが使用されています。これは主に外壁の屋外側に設置されていますが、水は通さないが湿気を通す性質を持っています。似たもので防湿気密シートというのもありますが、外壁の屋内側に取り付けられ水も湿気も通さない性質を持ちます。
屋根の場合、水も湿気も通す必要がない為、防水紙が使用されていますが、小屋裏に湿気がこもり蒸し暑い等といった場合は、換気棟や妻側換気とともに軒裏換気を設置することで熱を逃がすことができます。
タッカー留め
大型のステープラー(ホッチキス)に似たタッカーと呼ばれるもので、ステープル(コの字型をした針)で固定する。改質アスファルトルーフィングの場合、わずかな穴に対するシール性がありますので、ステープルと防水紙間の隙間はしっかり埋めてくれます。
粘着式
改質アスファルトルーフィングの野地板と接する面に粘着力があり、そのまま接着し、固定する。ステープル(コの字型をした針)を使うタッカー留めとは違い、穴が開かないので防水性が高い。
アスファルトルーフィングはタッカー止めのものしかありませんが、改質アスファルトルーフィングはタッカー留めのものと粘着式のものがあります。
施工方法は固定方法にかかわらず軒先から棟に向かって重ねながら留めていき、棟は全方から葺いてきた防水紙を隙間ができないように被せていきます。
近年トラブルは少なくなりましたが、以前は防水紙を棟から軒先に向かって葺き、重なり合った防水紙の隙間から雨水が入り込み雨漏りを起こすトラブルが多くあったようです。防水紙は必ず屋根材で隠れます。そのため施工中の写真がない限り異常に気付かないという事も考えられますので十分に注意しましょう。
耐久性 | 固定方法 | 施工方法を 含めた耐久性 |
|
アスファルト ルーフィング |
中 | タッカー留め | 中 |
改質アスファルト ルーフィング (ゴムアスルーフィング) |
高 |
タッカー留め | 高 |
高 |
粘着式 | 最高 |
耐久性が高い上に穴を開けずに固定できる改質アスファルトルーフィングが最も長寿命となります。
また、改質アスファルトルーフィングは屋根材や桟木をビス止めする場合でも有利です。収縮性があるのでビスに密着し、その隙間を極力小さくします。
桟木と防水紙の間に隙間がないという事は屋根内部に入り込んだ雨水が桟木部分に滞留するのではないかと思われますが、瓦桟木には溝を加工し雨水が流れるような仕組みがあります。
木材よりも腐食しにくく耐久性に優れた樹脂桟木にも溝がありますが、心配な方は施工前に確認しても良いでしょう。 穴を開けるのならタッカーで固定する防水紙でも問題なさそうですが、穴が多ければ多いほどお住まい内部の水の浸入口が増えるのですから、やはり粘着式の方がメリットは大きいのです。またルーフィングの劣化はこの開けられた穴から始まるという説もあります。やはり穴は少ない方が良いのです。
2016年から従来のものよりも寿命が長いガルバリウム鋼板の屋根材が登場しはじめました。 近年は新築・リフォームでガルバリウム鋼板が注目を浴びていますよね。気になっているという方も多いと思います。 表面の屋根材の寿命が長いのなら、防水紙もそれに合わせて長寿命のものを使うべきでしょう。
防水紙が傷むような年数ではなく、最近補修工事を行った。にもかかわらず雨漏りを起こしてしまったという経験がある方いらっしゃると思います。 もしその補修内容が屋根塗装もしくはラバーロック工法であれば、【毛細管現象】が原因かもしれません。
通常屋根は大半の雨水を防ぎますが、すべての雨水を防いでいるわけではありません。そのため防水紙が役立っているのです。
屋根内部に入り込んだ雨水は防水紙の上を伝い屋根材の外に排出されるのが基本です。しかし例えば縁切り・タスペーサー設置を伴わない屋根塗装工事を行ったら、屋根材のわずかな隙間は塗料で埋められ雨水の出口が亡くなってしまいます。
瓦を固定するためにシーリング材を打設するラバーロック工法も同様です。本来瓦すべての重なり部分をシーリング材で埋めることはしません。しかし知識のない屋根工事業者にラバーロック工法を頼んだ、ご自身で瓦の固定を行ったというお住まいは隙間なく施工されていることが多いです。
すると雨水の排出が出来なくなるため防水紙の上に滞留し続けます。そしてじわじわと防水紙にしみ込むように雨水が入り込み雨漏りを起こしてしまいます。これは防水紙の劣化ではなく誤った施工方法による雨漏りですので本来防げるはずの雨漏りなのです。
タスペーサーの重要性、ラバーロック工法の注意点は認知されつつありますが、今一度屋根リフォームを行う際には十分注意しましょう。
今回は防水紙がいかに重要な存在であるか、また正しい防水紙の選び方についてご紹介させていただきました。防水紙は部分的に剥がせる瓦ならまだしも、化粧スレートや金属屋根材であれば状態確認すらできません。だからこそ誤った施工方法すらも見逃されやすく、雨漏りが起きてしまったときにはじめて後悔に至るのです。
ご自身では高く状況把握もできない、補修もできない屋根だからこそ最も大事なのは正しい説明をしたうえで適切な施工を行う屋根工事業者に工事をお願いするという事です。それらを見極めるには実際にその工事会社に工事を任せた方が、現在どんな生活をしているのか(工事を行ってよかったと思っているのか)、また工事中の写真をしっかり公開している(自信をもって正しい工事を行っているのか)という事がチェックポイントです。
誰もができる限り屋根工事を安く済ませたいと考えるかとは思いますが、誤った施工によって雨漏りを引き起こし再補修となってしまっては全く意味を成しません。正しい工事を行ってくれるのかをまず見極めてから相見積もりを行うようにしていきましょう。私たち街の屋根やさんでは無料点検はもちろん、10のお約束を基に工事を行っていきます。
屋根リフォームを検討している、雨漏りでお困りの方、費用に関しての疑問や不安がある方はお気軽に私たち街の屋根やさんへお問い合わせください。
防水紙に関するまとめ
●雨漏りが起きてしまうのは屋根材の劣化だけではなく、その下葺き材でもある防水紙が傷んでしまっていることが原因です。
●一度雨漏りを起こしてしまったがそれ以降雨漏りが起きていない、そんなお住まいは防水紙が傷んでいる可能性がありますので、いつ、どこから、雨漏りが起きたかをしっかりチェックし屋根工事業者に相談しましょう。
●雨漏りを防いでいる防水紙にはいくつか種類があります。寿命が長い防水紙も存在しますが、問題は使用する屋根材の耐用年数ですので、防水紙と屋根材の寿命が近いものを使用しましょう。
●防水紙はタッカー留めか粘着式に分類されますが、どちらにせよ施工後の状態が確認できなくなります。施工時に正しい施工を行っているのかを確認することが最も重要です。
●近年高耐久の金属屋根材も人気を集めています。改質アスファルトルーフィングを使用している工事業者が多いですが、どのような防水紙を使用するのかを確認しておいたほうが今後も安心です。
●防水紙の劣化にかかわらず、縁切りが十分でない屋根塗装や誤ったラバーロック工法が毛細管現象を引き起こし、雨漏りを発生させてしまう可能性があります。
●施工後は確認すらできない防水紙が屋根の要でもあります。また高く簡単に点検できない屋根だからこそ正しい工事を行ってくれる屋根工事業者に任せることが最も重要です。私たち街の屋根やさんは点検・お見積りを無料にて承っておりますので、相見積もりも含めお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
富田 功義
▼保有資格
2級建築施工管理技士・雨漏り診断士・一般建築物石綿含有建材調査者
20,000棟以上の施工実績を持つ『街の屋根やさん』多摩川支店の支店長。
赤外線カメラを使用した雨漏り調査など、幅広いお悩み事に対応可能なリフォームアドバイザー。
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街の屋根やさんは東京都以外にも神奈川県、千葉県などでも屋根工事を承っております。日本全国に展開中ですので、貴方のお住まいの街の屋根さんをお選びください。