屋根カバー工法を行う5つのメリットをご紹介!かかる費用と日数は?
更新日 : 2024年04月24日
更新日 : 2024年04月24日
屋根カバー工法は、現在の屋根をほぼそのまま残し、その上に新しい屋根を載せて、覆う工事です。文字通り、屋根を屋根でカバーするので屋根が二重になります。屋根を重ねて葺くので、「重ね葺き」という呼ばれ方もします。
葺き替えに比べて日数もかからず、屋根材の撤去処分費がかからない分、リーズナブルに行えることから、屋根リフォームとしてカバー工法はメジャーな工法です。
しかしメリットばかりではありません。注意点をご理解いただいたうえで、屋根修理・リフォームをご検討ください。
目次【表示】
屋根カバー工法は解体が最小限で済むので廃材がほとんど出ません
屋根葺き替えに比べて日数と費用がかかりません
屋根カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根を被せる工法です。スレートのリフォーム方法としてよく選ばれます。
メリット1 葺き替えに比べ費用が安い!
現在の屋根の上から新しい屋根材を被せるので、基本的に屋根を解体する必要がありません。廃材となるのは棟板金や雪止め、その他取り外しが必要な部材のみです。
その分、解体工事費も廃材処理費も節約できるのです。
2004年以前に施工された建築物の建材にはアスベストを含んだものがあります。アスベストを含む建材は環境負荷が高いために解体も難しく、その費用も、廃材処理費も高額になります。廃材がほぼ出ないカバー工法はこのような屋根にも最適です。
「アスベストを含んだ建材が使われている建物に住んでいて大丈夫か」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、ご安心下さい。破壊や粉砕をしない限り、アスベストが空気中に飛散することはありません。
また、お住まいの屋根の種類が分からない方はご相談ください。
令和4年4月1日より、建築物等の解体・改修工事を行う施工業者は、大気汚染防止法に基づき石綿(アスベスト)含有建材有無の事前調査結果を都道府県等に報告することが義務づけられています。
街の屋根やさんでは、基準に則った正しい調査・報告を実施しております。
メリット2 工事期間も短い!
塗装や葺き替えよりも短い工期で施工できます。屋根の大きさや形にもよりますが、かかる日数は一般的に1~7日程です。工期が短いということは人件費も少なくなりますので、それだけ費用もお安くなります。普段とは違った環境で生活しなくてはならないという心理的な不安も少なくなります。
足場を仮設した場合、出入りがしにくい、窓が開けづらいといった不便を感じることもあります。短い期間で通常の生活に戻れることは大きな利点と言えるでしょう。
メリット3 断熱性や遮音性がアップ!
屋根カバー工法は屋根が二重になる工事です。
現在、もし「屋根の断熱性に不安がある」「雨が降ると屋根に当たる音がうるさい」などのお悩みをお持ちなら、屋根のトータルでの厚みが増すことで軽減されます。
メリット4 工事中も普段と変わらない生活ができます!
解体が必要なのは棟の板金や雪止めぐらいです。ですのでお住まいの大きさにもよりますが、解体工事にかかる時間は半日程で済んでしまいます。また、お住まいの内部に手を加えることはありませんので、普段の生活への影響はほぼ皆無です。
塗装と違って臭いも出ないので、工事期間中もストレスなくお過ごしいただけると思います。
メリット5 環境に優しくエコです!
地球にやさしく、環境負荷が少なく、とてもエコです。前述のアスベスト以外にも二酸化炭素排出量の問題があります。廃材を運搬するのには車を使います。廃材が少ないということは運搬する回数や量を減らすことになります。地球温暖化の元凶と言われている二酸化炭素、その排出量の削減にも貢献できるワケです。
<平板スレート専用カバー屋根材とは違います!>
「シーガード」など、平板スレートに接着剤で貼り付けていく補修屋根材も「カバー工法」と呼ばれることがありますが全く別の工事なのでご注意ください。
このタイプは、スレートの表面に被せ劣化を抑制することが可能ですが、スレートの下の防水紙が劣化していたとしても補修はできません。
屋根工事業者に「屋根カバー工法」を提案された場合にはよく確認してみてください。
デメリット1 屋根の劣化状態によっては施工できない場合もあります
点検・調査にて施工が可能か判断します
屋根の下地が劣化していた場合、その部分を補修しなければなりません。補修せずにカバー工法を行ってしまうと、そのまま放置してしまうことになります。
以前、弊社が点検・調査にお伺いしたお住まいでは下地が腐食された状態で施工されたためか、建物内部まで被害が進行している例もございました。カバー工法が施工された建物でこのような状態になってしまいますと、現在の屋根と従来の屋根、二重の屋根を剥がさなければならず、大変手間がかかり、費用も嵩んでしまいます。
弊社では入念な点検と調査をしてから、施工できるかどうかを判断しています。場合によってはカバー工法をお断りし、他の工事をご提案する場合もございますので、ご了承下さい。
デメリット2 屋根の重量増加を招きます
軽い金属屋根材がおすすめです
耐震性を考えた場合、屋根は軽い方が有利です。
カバー工法ではこれまでの屋根を撤去せず、その上に新しく屋根を被せるため、重量増は避けられません。そのため、軽い金属屋根材(ガルバリウム鋼板など)をお薦めすることが多いです。一般的なスレート屋根に金属屋根材でカバー工法を行った場合、既存のスレートと足した総重量は約23~26kg/㎡になります。これでも一般的な瓦屋根、約60kg/㎡よりはかなり軽量です。
デメリット3 アスベストの問題は先送りです
解体をしないのでアスベスト含有屋根材にも屋根カバー工事がおすすめできる、と前述しましたが、将来的にもう一度リフォームしたり解体したりすることがないとも限りませんよね。
アスベストを含む産業廃棄物の処分費用は年々上がっています。数十年後、屋根材を処分することになったとき、高額になっているとも限らないことを覚えておいてください。
屋根カバー工法は、スレート・アスファルトシングル屋根などのリフォームに向いています。
ただし、屋根の土台ともいえる野地板がしっかりしていて、重ね葺きに耐えられる場合に限ります。場合によっては現在の屋根材の上から野地板(コンパネ)を張り直してカバー工法を行うこともあります。
屋根の状態をしっかり点検し、工事方法をご提案させていただきます。
瓦は屋根カバー工法できない?
和瓦やセメント瓦の屋根にはカバー工法での施工はできません。瓦の上からカバーすることは難しいからです。
またカバーする屋根材としても瓦を選ぶことはできません。瓦は総じて重いので、ただでさえ屋根の重量が増える屋根カバー工法には向かないのです。
工事の流れ
カバー工法に不要な棟板金を撤去します
はじめの写真は屋根カバー工法を行う前の状態です。まずは棟板金と、その下に設置してある貫板を撤去します。雪止めが設置されている場合はそれらも撤去し清掃を行います。屋根カバー工法はこの部分しか廃材が出ませんので、解体費と廃材処理費の節約になります。
アスファルトルーフィングと呼ばれる防水紙を敷設します
元々の屋根の上に防水紙を設置します。軒先から棟に向かって敷いていくのがポイントです。また、その時に上下の防水紙を10cmほど重ねます。そうすることで、仮に屋根材の下に水分が入り込んでも屋内まで浸入しないのです。防水紙の設置が終わりましたら、貫板と板金を取り付ける下地を設置します。
新しい屋根材を設置していきます
続いて屋根材を設置します。使用する屋根材はガルバリウム鋼板を使った横暖ルーフきわみです。屋根は軽い方が地震に強いです。横暖ルーフきわみは軽量なので、地震対策をお考えの方には、おすすめの屋根材と言えるでしょう。
プラスチック樹脂製の貫板を設置していきます
屋根材の設置が終わりましたら、貫板を設置します。使用したプラスチック樹脂製の貫板は木製と比べて腐食しにくい特徴があります。写真は貫板設置後、その両側に防水用のスポンジを貼り付けているところです。これにより棟板金の脇から雨水が入り込むのを防ぐことができます。
棟板金を設置していきます
貫板の設置が終わりましたら、次は棟板金の設置を行います。棟の形状に合わせ、調整が必要な場合は工具を使って加工します。貫板の上に棟板金を被せ、SUSビスを使って固定していきます。SUSビスはねじ込んで留めるので釘よりも固定力が強いです。特に棟板金は風の影響を受けやすいので、飛散しないようにしっかりと固定します。
板金と板金の境目にコーキング処理を行います
板金の合わせ目から水分が浸入してこない様にコーキング処理を行います。周辺をテープで養生した後、コーキングを充填します。その後、ヘラなどを使い表面を整え、テープを外します。コーキングが固まったら工事完了です。
横暖ルーフきわみを使った屋根カバー工法が完了です
ご覧いただいた様に、屋根カバー工法は屋根葺き替え工事と比べて工程が少ないです。それにより工期が短縮できる上に、廃材撤去費用などの節約にもなる利点があります。また、緩みにくいSUSビスを使って屋根材を固定していることも大きなポイントです。固定力が強力になった事で、台風などの強風にも耐えることができる強い屋根になりました!
屋根カバー工法は屋根が二重になりますから、比較的軽い屋根材を使うのがおすすめです。
軽い屋根材といえばガルバリウム鋼板などの金属、またアスファルトシングルもよく採用されます。
金属屋根
屋根カバー工法で一番おすすめできるのが金属屋根です。
トタンよりも数倍錆びにくい、ガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板を使ったものが主流です。
軽くて薄い金属屋根でも、カバー工法なら断熱性・遮音性が保たれます。
石粒付き金属屋根(ジンカリウム鋼板)
金属屋根の表面に石粒を吹き付けたタイプも人気です。その分やや重量も価格も上がりますが、石粒がおしゃれな風合いを演出するので金属とは思えない趣があります。
ジンカリウム鋼板が使われる屋根材はほぼこのタイプです。
アスファルトシングル
次に軽い屋根材としてアスファルトシングルがあります。アメリカでは一般的に使われる薄い屋根材です。こちらも石粒付きで北欧風の雰囲気がある屋根にできます。
日本では施工経験の豊富な業者が少ないので、ご希望の際には確認してみてください。
屋根カバー工法にかかる費用
屋根カバー工法費用相場…90万円~150万円
※屋根の状態や屋根材の種類によって変わります。詳しくは無料点検にてご相談ください。
屋根カバー工法施工例
スレート → 金属屋根にてカバー工法
工事費用 約110万円 施工期間 7日
建坪 25坪
塗装か屋根カバーかで悩んでおられましたが、傷みが進んでいたためニチハ「横暖ルーフ」にて屋根カバーいたしました。
トタン → ガルバリウム金属屋根にてカバー工法
工事費用 約120万円 施工期間 10日
建坪 40坪
塗膜が剥がれた古いトタン屋根を合板で補強し、ガルバリウム鋼板の立平葺きにてカバーいたしました。
スレート → アスファルトシングルにてカバー工法
工事費用 約95万円 施工期間 7日
建坪 27坪
パミールという、経年で劣化が顕著になる屋根材でした。塗装メンテナンスは不可能です。おしゃれな屋根に仕上がりました。
金属屋根 → 石粒付き金属屋根
工事費用 約160万円 施工期間 10日
建坪 32坪
雨漏りでお困りだった金属屋根に合板を敷き、ジンカリウム鋼板が基板のディートレーディング社「メリッサ」にて屋根カバーいたしました。
多く普及している屋根材であるスレートの寿命は20~30年程度です。そろそろリフォームの時期という方が多く、屋根カバー工法は屋根工事の現場で多く行われています。
「我が家も屋根カバー工法が可能なのか?」
「どんな屋根材に替えるのが良い?」
屋根カバー工法にご興味があればまずは無料点検・お見積もりをお申し込みください。屋根やお住まいの状況を点検し、ご希望に合わせた工事をご提案させていただきます。
屋根カバー工法まとめ
●屋根カバー工法は、現在の屋根に新しい屋根材を被せる(カバーする)工法です
●解体が最小限なので、廃材も少なく、屋根葺き替えに比べて費用と日数がかかりません
●屋根が二重になることで断熱性や遮音性が上がる、工事中も生活への影響が少ないなどのメリットがあります
●屋根の重量が増す、現在アスベスト含有屋根材だった場合に後々高い処分費用が掛かる可能性がある、といったデメリットもあります
●屋根カバー工法は屋根材を重ねるので、軽い屋根材が推奨されます。おすすめはガルバリウム鋼板などの金属屋根です
この記事の監修者
富田 功義
▼保有資格
2級建築施工管理技士・雨漏り診断士・一般建築物石綿含有建材調査者
20,000棟以上の施工実績を持つ『街の屋根やさん』多摩川支店の支店長。
赤外線カメラを使用した雨漏り調査など、幅広いお悩み事に対応可能なリフォームアドバイザー。
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