その台風による屋根への被災、予防できたかもしれません
更新日 : 2024年02月19日
更新日 : 2024年02月19日
「前回の台風で屋根が被害を受けてしまった」
街の屋根やさんでは、季節に関係なく台風によるご相談をいただいております。そして被害を受けた屋根の多くが、シーズン前に点検やメンテナンスを行っていれば未然に被害を防止できたかもしれない例が多いのです。
「こんなことなら台風前にメンテナンスしておけばよかった」と後悔しないために、台風被害を予防できたかもしれない屋根の劣化サインと補修方法を、費用と併せて詳しくご紹介いたします。
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貴方のお家は大丈夫だったでしょうか、台風による屋根への被害
近年、気象の激しさが増しており、例年、「観測史上初」、「記録的な」といった言葉が連発されています。
毎年のように最高気温が更新される猛暑、何日も続く豪雨が頻発し、大型化する台風にかなりの不安を抱えている方もいると思います。台風が上陸・接近すれば、建物へも大きな被害を与えるからです。
街の屋根やさんでは現在もさまざま台風や悪天候で屋根の被害を受けた方からご相談が続いています。それだけ台風などが獰猛になっているということです。
屋根の被害は軽微なものから大きなものまで多数あった
台風に限らず、強風が吹きますとご相談が多くなるのが棟板金の剥がれや落下、飛散です。屋根の頂点や角にある棟板金はそれだけ風の影響を受けやすく、傷みやすい部分なのです。そして、雨樋への被害のお問い合わせも多くなります。「はずれてしまった」、「落下してきた」などです。
また、ベランダやバルコニーの屋根、カーポートの屋根が飛ばされたといったという被害も多くなります。通常の台風なら、被害はほぼ、ここまでです。
今回の台風で多かったのが屋根から瓦が落下してきたという被災でした。「瓦が落下してきた」、「スレートが剥がれて落下してきた」というお問い合わせが非常に多かったのです。瓦はかなりの重さがありますから、並の強風程度なら落下してきません。また、スレートも釘で固定されていますから、ちょっとした強風程度なら剥がれることはありません。
これだけでも凄い強風だったことが分かります。大きな被害では屋根が全面的に剥がされてしまったもの、ほとんど屋根材が飛散し、落下してしまったケースもありました。
街の屋根やさんへのお問い合わせ数の推移と
予防できたであろう被害の内訳
街の屋根やさんへのお問い合わせ数の推移と予防できたであろう被害の内訳
グラフのように台風が日本を襲った9月と10月にお問い合わせが激増。台風21号・台風24号による被害だけでなく、「台風25号が心配だから屋根を見てほしい」というご相談も少なからず、寄せられました。
台風被害のうち、約半数は事前に点検していれば、予防できたものであることが衝撃的でした。台風が来る前から不具合を起こしていたと思われるもので、そのほとんどは簡易的な点検、目視などで異常を確認できたと思われます。
さまざまな台風から学んだ貴重な教訓
前から薄々と感じていたことなのですが、お客様から台風被害のご相談を受けている最中、ほとんどのスタッフがあることに気付き始めました。
「この被災は台風が来る前に無料点検を受けていれば防げていたのではないか」、「これは無料点検を受けていても、被害は防げなかっただろう…」、予防できたであろう被害と予防できなかったであろう被害に分けられることに気付いたのです。これはかなり衝撃でした。私達も改めて点検の大切さを再確認したのです。
屋根の点検を何年もやっていないという方は次回、大風が吹く季節の前には本当に無料点検を受けてください。暖かくなる前には必ず春一番が吹きます。台風ほどではありませんが、春一番でも毎回、屋根の被害のご相談を受けています。
予防できたかもしれない屋根被害と予防できなかったであろう屋根被害、この差は屋根の傷みや劣化を目視で確認できたかどうかです。
例えば、被災してしまうであろう棟板金は誰が見ても分かります。固定の要となる釘が緩んでいることがほとんどで、棟板金と屋根の間に手が入るほどの隙間があることもあります。こういった不具合が出ていた場合は台風が来る前に交換などの対策をしておけば、100%と言わないまでもかなりの確率で被災を裂けられたのです。
棟板金の剥がれ、落下、飛散
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瓦屋根の棟の倒壊とそれに伴う二次被害
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瓦屋根の瓦の落下とそれに伴う二次被害
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ベランダやカーポートの屋根の飛散
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瓦棒葺きや立平葺きの金属屋根の剥がれ
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波板トタン(ガルバリウム)の屋根や壁の剥がれ
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雨樋の外れや破損、落下など
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折板屋根の剥がれ
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波板スレートの屋根や壁の剥がれ
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化粧スレートの剥がれや落下
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瓦の落下
スレート屋根材の剥がれと落下
強風による飛来物
自然の力は脅威的であり、台風以上の強風が吹くものとして竜巻があります。その突風の威力は10t以上のトラックを持ち上げるといいますから、命の危険性さえあります。竜巻は日本全国で発生していますが、幸いにもその被害は局地的であり、寿命は十数分程度です。台風のように何日間にも渡って全国を蹂躙することはありません。
強風による飛来物
台風をはじめとした風災、降雪による雪害、落雷による被災、豪雨による水災、降雹による被災、これらのほとんどが火災保険で直せることをご存知でしょうか。
火災保険というと、その名称から火災にのみ適用されると思いがちですが、実はそれ以外の自然災害に対しても補償してくれるのです。保証してくれる自然災害は加入条件によって異なりますので、まずはそちらをご確認ください。
自然災害による被災を火災保険で直す場合、保険会社へ被害状況の報告、被災した箇所の写真、それを直すための金額(お見積もり)の申請が必要になります。街の屋根やさんではこういったことのお手伝いもしております。まずはご相談ください。
被害を受けた・受けたかもしれないことで発生した不安と災害便乗商法
今回、台風21号、または24号で被災した・被災したかもしれない方々の一番の心配は次の台風のことでした。
屋根が被災してしまうと、ちょっとした雨であっても雨漏りしないか心配です。台風21号で被災した方は台風24号と台風25号を、台風24号で被災した方は台風25号をとても不安に思っていました。
「次の台風が来る前に点検だけでも」という方も多かったのですが、お力になれなかったケースもあり、大変悔やまれます。
今回のように大型の台風が来れば、街の屋根やさんだけでなく、どんな屋根業者も忙しくなります。普段は対応が早い業者でも手が回らないこともあるのです。
今回の台風を経験した私達が言えることはただ一つです。今回のような台風では即時に対応できないことも出てきます。
そのようなことも想定して自然災害の訪れる季節の前に無料点検を受けてくださいということだけです。
天災時には必ず発生する災害便乗商法
広範囲で大きな災害が発生した場合、必ずそれに便乗する悪徳業者が出てきます。
いつも頼んでいる業者、信頼できそうな業者に電話しても通じない・通じても「いつお伺いできるか分からない」と言われる、しかも、来週はまた悪天候… こんな状態の中でお家に訪問してきて『お困りならばブルーシートや防水テープで応急処置だけでもしておきます』と言われたら、渡りに舟と感じてしまうでしょう。
多少、怪しいと思っても、現在の状況が少しでも改善するならと頼んでしまう方も多いと思います。
悪徳業者はその後、ありえないほどの高額な請求をしたり、高額な工事の契約を結ぼうとします。
まず、相手にしないのが一番です。それにこういった業者はとにかく不安を煽りますので、瓦がずれていないのにずれていると言ってみたりいい加減なことしかいいません。
屋根に不具合が発生していても、その業者が騒いでいるほど、酷くはないのが常なのです。
被害を受けた・受けたかもしれないことによる心配、そして次の悪天候への不安、こういった災害に便乗して言葉巧みに近付いてくる悪徳業者、いずれも無料点検を受けて悪いところを直しておけば、こんな思いはしなかったはずなのです。
本当に大きな災害では業者がどこも忙しくなり、養生するのさえ難しくなるケースもあります。常日頃からとは言わないまでもある程度の築年数が経過したら、定期的に点検することをお薦めします。
天候が極端となる夏と冬はそれなりの備えと点検を
2018年から2019年、平成最後の冬は平年並みかやや高い気温と予想されています。この通りになれば全国的に雪は少なくなるでしょう。皆様もご存知のように北国の方々に笑われてしまうほど雪に弱いのが東京を始めとした太平洋側の都市です。
降雪被害に遭わない、降雪被害を近隣に与えないためにも雪止めなどの備えは必要です。本格的な冬が来る前にご検討ください。
実際の台風被害復旧の施工事例
飛散した棟板金の設置と既存棟板金の交換
5年ほど前に屋根塗装と外壁塗装をご依頼いただいたお客様から、「強風で棟板金が飛散してしまったので、修理してほしい」とのご依頼を承りました。
以前、屋根塗装を行った時は棟板金の固定力も問題なかったのですが、月日の経過は恐ろしいものです。棟板金を固定している貫板を腐食させていました。画像を見ると、端が腐食によって崩れていることが分かります。今回は水分によって腐食しない石油系の樹脂から作られたタフモックを貫板として使用します。
屋根の上と言えども設置した棟板金と屋根の色が違うと美観を損ないますよね。幸いにも、お客様が以前、ご依頼いただいた塗料で同じ色が余っていました。遮熱塗料のサーモアイで同色にして棟板金工事完了です。
強風で倒壊した瓦屋根の棟の取り直し
強風で瓦が外れてしまったというご相談です。モニエル瓦の屋根で瓦は1部しかしか外れていませんでしたが、全体的に漆喰の傷みが見られたので、棟全体をしっかりと並べ直す棟取り直しを行いました。
冠瓦だけでなく、熨斗瓦も一箇所脱落していました。漆喰となんばんにも劣化し、崩れてきています。これでは強風や地震などで瓦がずれたり、脱落してもおかしくありません。
熨斗瓦の下に棟を固定する金具を入れて、そこに棟木を固定します。屋根の野地板に棟を固定する金具が直接取り付けられ、そこに棟木が取り付けられるため、従来の自重と銅線で支えている棟よりも風や揺れに強くなります。
葺き土の代わりになんばんを瓦の土台をとします。葺き土のように水分を含むこともなく、雨水に浸食されることのないので耐用年数も長くなります。その上に冠瓦を被せ、一つ一つをビスで固定しています。これで強風で崩れた棟の取り直しは完成です。
瓦屋根の瓦のずれと漆喰の補修
一部の熨斗瓦がずれており、割れている部分もあります。棟自体はまっすぐでずれはないので、全体が倒壊してしまうという危険性は少ないと思うのですが、将来的なことを考えたら、棟を一度、撤去し、再構築する棟取り直しを行ったほうがリスクは少なくなるでしょう。銅線も緩みが出ています。
漆喰にも傷みが出ています。お客様は「今後、数年以内に建替えを考えているので、それまで持てばいい」とおっしゃっています。幸いにも、先祖代々からこの土地に住んでいるというお客様の敷地は広く、聞けば「近くに農機具用の倉庫もある」とのことです。お隣の敷地も広く、両隣の建物同士の距離も充分にあります。これならば災害で瓦が落下してもお隣にご迷惑をおかけすることはありませんので簡易的な補修をすることになりました。お隣が近接するような地域ではこの先、建替える予定があっても、このような工事は絶対に選択できません。
瓦のずれを直しながらの部分的な漆喰の詰め直しと詰め増しを行いました。銅線の固定の見直しも行いました。定期点検に訪れた際、「あんたのところの工事は凄いね。この間の台風で近所の屋根は被害を受けていたけど、自分のところは何ともなかったわ」との声をいただきました。確かに弊社の工事品質は他社に劣ることはないと思っていますが、こちらは部分補修をしてから1年未満の台風でした。人類未体験の天候ならばともかく、通常の大型台風くらいは耐えないと補修した意味はありません。
飛散したカーポート屋根のFRP波板を遮光ポリカへ交換
家屋に隣接しているカーポートです。見た目で分かるとおり、かなり大きなカーポートで家屋の外壁に屋根が接合されているため、雨の日でも濡れることなく車かお家に移動できるため、かなり重宝していたということでした。横幅・高さとも大型車を余裕で収められる大きさがあり、奥行きも車2台を縦列できる広さがあります。車の駐車以外にもいろいろなことに利用できそうです。
その飛ばされた波板を見てみると、何とFRPの波板でした。塩ビ、ガラスネット入り塩ビ、ポリカ、トタン、ガルバリウム、スレートとさまざまな波板がありますが、FRPの波板はかなり珍しいのではないでしょうか。
残されている波板は中央の一部です。その波板が取り付けられていた下地の木材を見ますと、上側の板の劣化が激しいことが分かります。上側ということで、釘穴から浸入した雨水で劣化したのでしょう。こちらも交換が必要です。
残されていた波板、上側の桟木を撤去し、新しく組み直して下地の補強をします。上側の桟木は横に広く、下側のものは縦に幅広くなっていることが分かります。これ、それぞれ力のかかる方向を考えた上でこうなっているのです。
その上に遮光ポリカを取り付けていきます。ポリカの正式名称はポリカーボネイトで大変、強度と耐用年数に優れた素材です。これまで使用されていたFRPよりも軽くて安い、屋根材として使用されるなら強度もほぼ同じという特徴を持ちます。透明なものから遮光、遮熱と言った機能を持つものもあります。これで使い勝手のいいカーポートが蘇りました。
強風で捲れてしまった瓦棒屋根の葺き替え強風で捲れてしまった瓦棒屋根の葺き替え
強風で瓦棒屋根が捲れあがってしまいました。外見はそれほど古い感じは見られませんが、剥がれてしまった部分を見ると、芯木などが腐食しており、雨水が大分前から浸入していたことが分かります。
全てのトタン屋根材の剥がして新しく葺き替えます。まずは前面に防水紙を敷設します。その上に金属を取り付けていきます。新しい屋根材はこれまでのトタンではなく、ガルバリウム鋼板を使用しましたので、錆に強い屋根に生まれ変わりました。
物置屋根の剥がれてしまった波板トタン(ガルバリウム)の葺き替え
片流れの屋根の物置です。かなり古いものですが、しっかりと雨戸なども取り付けられているところを見ると、丁寧な造りがされていることが分かります。その物置の波板トタン屋根が強風で剥がされてしまいました。その下の防水紙も剥がされて、跡形もありません。
まず、防水紙を敷設します。今回は野地板に勾配に沿って胴縁を取り付けました。万が一、水が入ってきても容易に排水できますし、簡易的と言えど、通気にも使えますので、屋根が長持ちすると思います。棟側の波板の端は折り曲げて水が入らないよう処理します。
最後に棟板金を取り付けて完成です。ケラバ部分にも水切り金具を設けました。物置といえども丁寧に作られているので、まだまだ現役で使えるでしょう。
強風で外れてしまった雨樋の交換
強風で雨樋が外れてしまうということはよくある被害です。樹脂製の雨樋は紫外線で硬化が進み、柔軟性がなくなってくると強風に耐えられず、割れてしまうことがあります。雨樋を固定している金具(止め具)、金具を固定する鼻隠し、これらも経年で劣化してくるので、雨樋ごともげてしまうこともあります。こちらは金具に折れたり、抜けたりしており、自重に耐えられなくなった雨樋が折れ曲がってしまったようです。
雨樋工事で重要なのは排水勾配(傾斜)を取ることです。どの部分でも排水の流速が均一になるよう、糸を張って角度を計り、勾配を一定にします。そこに雨樋を取り付けます。この後に排水テストを行い、問題なければ工事完了です。
台風による屋根への被災、まとめ
●今回の台風21号と台風24号だけでなく、台風の被害はさまざま地域に及びます
●台風21号と台風24号は大事な教訓を残しました
●台風による屋根への被害には予防できたかもしれないものと予防できなかったであろうものがあります。
●無料点検をうけておけば、予防できる屋根への被害もあります
●被災してしまうと毎日、お天気のことを心配しなくてはなりませんし、次の台風のことでとても不安になります
●冬の降雪に備え、落雪被害を防ぐため雪止めの設置は必須です
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