ニチハパミールの問題。今後のメンテナンスが不安な方へ、5つの解決策をご紹介
屋根材が何層にも渡って剥離し、ミルフィーユのようになってしまい、最終的には剥がれて崩れ落ちていく… そんな悪夢のような光景を各地で起こしているのがニチハの屋根材「パミール」です。普通のスレート屋根材よりもはるかに短い時間で屋根材としての機能を喪失してしまう「パミール」のメンテナンス方法をご紹介します。
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ミルフィーユのように剥がれて崩れてしまう…
スレート屋根材(カラーベスト・コロニアル)「パミール」
築7 年程度で表面が剥がれはじめ、十数年程度でボロボロに崩れだしてしまう… そのようなケースが多数、報告されているのがニチハ株式会社が製造・販売していたパミールという屋根材です。パミールは一般的にスレート(化粧スレート・カラーベスト・コロニアル)と呼ばれる屋根材で、1996 ~ 2008 年まで販売されていました。
2018 年現在、発売当初に新築を購入した際に屋根をパミールにした方で既に20 年、販売終了間際にお家を建てた方でも10 年経過しているとことになります。
このような問題を抱えている屋根材は今後、どのようなメンテナンスを行っていけばよいのでしょうか。スレートは現在、最も普及している屋根材で、パミール以外の一般的ものはだいたい20 ~ 25 年以上の耐久性があると言われています。
パミールのメンテナンスは一般的なスレートと分けて考えなくてはなりません。
一般的なスレートとは全く違う! パミールの劣化と不具合
●屋根材の裏面に湿気が溜まり、それが防水紙や固定している釘に悪影響を与えている
●屋根材がずれたり脱落する
●雨水が滞留しやすい下端の小口が変色してくる
●下端の小口を中心に剥離し始める
●剥離が左右の端にも拡がりミルフィーユのように何層にもわたる
●剥離し、弱くなった部分が崩れ始める
画像をご覧くだされば分かるように、屋根がこのようにボロボロになってしまえば、雨水はその下へも染みていきます。このまま放置してしまえば、間違いなく雨漏りに繋がります。また、「剥がれて、崩れてしまう」パミールには屋根塗装しても無駄ということがご理解できると思います。
ご自宅がスレート屋根という方、まずは一度確認を
ご自宅の屋根にスレートRTが使われていることをご存知でも、その製造・販売メーカーまでは分からないという方も多いのではないでしょうか。
そういった方は一度、図面や仕上げ表で「メーカーと製品名」をご確認ください。
現在、ニチハはスレートを生産していませんから、他のメーカーのものでしたら、安心できると思います。ただ、中には図面や仕上げ表の記載がいい加減ということもありますので、気をつけなくてはいけません。
単に「スレート葺き」としか書かれていなかったり、スレートではあるけど違うメーカーの違う製品だったりすることもあるのです。
ご自宅の屋根材が不明だったり、心配だという方は街の屋根やさんの無料点検をご利用ください。パミールなのか、違うものなのかを正確にご報告いたします。
屋根塗装は不可能! パミールの最適なメンテナンス方法は
塗り替えを行っても、メンテナンスにはならない?
普通のスレート(カラーベスト・コロニアル)屋根の場合、屋根塗装によるメンテナンスで寿命を延ばすことができます。しかし、パミールの場合は不可能です。
塗り替えを行っても、塗膜ではなく屋根材自体が剥離してきますので、メンテナンスにはならないのです。
選択肢は屋根カバー工法か屋根葺き替え
1996 年頃、屋根をパミールで新築した方で約20年、2008 年頃の販売終了間際にお家を建てた方でも約10 年経過しました。ちょうど、屋根のメンテナンス時期に来ています。このような問題を抱えている屋根材は今後、どのようなメンテナンスを行っていけばよいのでしょうか。
パミールはお手入れして寿命を延ばすことができないので、選択肢は必然的に屋根カバー工法か屋根葺き替えになります。
パミール以外のスレート屋根の場合、屋根塗装を行った場合、次のメンテナンス時期は約10 年後です。
その時のメンテナンスでは屋根塗装か屋根カバー工法か屋根葺き替えの選択になります。費用対効果を考えれば、屋根葺き替えよりも屋根カバー工法ということになるのですが、パミールはここで屋根葺き替えも意外とリーズナブルになるのです。
怪我の功名と言ってよいのか分かりませんが、パミールはノンアスベストの屋根材です。同じスレート屋根でもアスベスト入りの屋根材では高くなってしまう解体・処理費ですが、パミールではそこまでかからないのです。
屋根カバー工法を選択した場合、今後数十年は安心です。屋根葺き替えを選択した場合、その安心して過ごせる期間はさらに長くなります。ご自分やご家族のライフプランを考えて最適な選択をしてください。
特に太陽光が設置されている、または設置する予定があるという方には屋根葺き替えがお勧めです。それ以外の方には屋根カバー工法がお勧めです。屋根カバー工法を行った屋根に太陽光を載せるのは難しく、現実的ではないからです。屋根カバー工法はこれまでの屋根を解体しないため、解体費や廃材処理費がかからないのが大きなメリットです。
パミールのメンテナンス事例紹介(スーパーガルテクトによる屋根カバー工法)
築16年で剥がれた屋根材の一部がお庭に落下してきたというお客様。「屋根葺き替えを含めて、どんなメンテナンスが最適なのか一度、点検してほしい」ということでお伺いしました。今回は屋根葺き替えではなくて、屋根カバー工法によるメンテナンスを選択なされました。
点検時の様子
お客様のお家の屋根には典型的な病状が出ていました。屋根材の下端の小口の変色の他、そこから剥離がはじまり。崩れてきている状態です。
お庭の芝生の上に剥がれた屋根材の一部が落下していました。屋根でもさまざなところが崩れており、できるだけ早く、メンテナンスを行わなければならない状態です。このままでは近いうちに雨漏りがはじまってしまうでしょう。今回は屋根カバー工法にてメンテナンスを行います。
カバー工法
屋根カバー工法ではまず、屋根の上の棟板金などを外します。その後、防水紙を敷設していきます。今回は勾配が急なため、遅延型粘着層ルーフィングのタディスセルフを使用しました。
これまでの屋根の上に新しい屋根を被せるのが屋根カバー工法です。お客様はIG工業のスーパーガルテクト、シェイドブルーをお選びになられました。スーパーガルテクトはこれまでのガルバリウム鋼板よりも優れたものです。めっき成分にマグネシウムが配合されたことにより、より錆に強くなりました。
カバー工法完成
屋根カバー工法が完了しました。今回、使用したスーパーガルテクトは表には遮熱塗料、裏面に断熱材があるタイプで、1年を通して、快適を実現します。屋根が二重になったので、遮音性も高まり、より快適な生活ができること間違いありません。
パミールのメンテナンス事例紹介(横暖ルーフきわみによる屋根カバー工法)
「屋根塗装を検討している」とお客様様よりご相談をお受けしました。点検にお伺いしたところ、屋根材はなんとパミール、既に剥離が始まっており、塗装できない状態です。お客様様には屋根塗装に代わるメンテナンスとして屋根カバー工法をご提案しました。
点検時の様子
お客様のお家はスレート(カラーベスト・コロニアル)屋根でした。現在、最も普及している屋根材で、屋根塗装によるメンテナンスが一般的ですが、中にはそれができないものもあります。ニチハ株式会社のパミールという屋根材です。上の2つの画像、実は同じ屋根なのです。塗装できそうに思える画像と表面が崩れており、これは無理という画像2つがあります。このうち、塗装できそうに思える屋根に塗装しても無駄であることは明白です。そのうち、表面が崩れており、これは無理という画像と同じようになるからです。
カバー工法
屋根カバー工法の場合、これまでの屋根を解体しませんが、除去しなければならない部分もあります。棟板金や屋根の出っ張り部分です。棟板金は取り除き、雪止めはサンダーなどでカットし、取り除きます。
屋根から棟板金や雪止めなどを取り除いたら、防水紙を敷設します。防水紙を敷設したら、その上に屋根材を設置していきます。お客様がお選びになったのは横暖ルーフきわみです。表面の塗装は遮熱が標準となっており、夏でもお部屋が暑くなりづらい金属屋根材です。この横暖ルーフきわみの裏面には断熱材が備えられており、一年を通してお部屋の快適温度を保ちます。
横暖ルーフきわみの設置が終わりましたら、棟板金の取り付けに移ります。取り付けたら、棟板金同士の隙間にシーリング材を充填させて工事完了となります。屋根カバー工法は工期が短く、数日程度で終了してしまうのも特徴です。普段と同じように生活できるので、ご自身やご家族のストレスも最小限に抑えられます。
カバー工法完成
2階の屋根と1階の屋根、すべての屋根への屋根カバー工法が終わりました。黒い屋根から緑の屋根に代わって、お家のイメージも刷新されました。これで数十年間、屋根を心配する必要はなくなりました。
このような解決策もご用意しております!
● 街の屋根やさんのコメント
太陽光発電による売電の買い取り価格が高かった頃、このようなご相談を多く受けました。割と築が浅いお家がほとんどで、太陽光発電のことから売電のこと、そして屋根材のことまでかなり勉強されているお客様が多かったです。
● 街の屋根やさんのコメント
今まで屋根材について特に拘りはなかったけど、パミールの件で『スレートだけは絶対に選ばない』と決めてしまったお客様も多数おられました。『屋根に重量物を載せるから、軽い屋根材にしたい』というお客様も多く、軽量な金属屋根材をご提案させていただくことも多々あります。
● 街の屋根やさんのコメント
どのお客様も撮影したパミールの画像を見せると、唖然とされます。ちょうど、表面が剥がれはじめており、脱落している屋根材の実物を見せると言葉を失ってしまうお客様も多くいらっしゃいます。金属屋根でのカバー工法を行うことで『提案どおり、金属屋根にして正解だった』とおっしゃっていただけるお客様が実に多くいらっしゃいます。
● 街の屋根やさんのコメント
どのお客様も撮影したパミールの画像を見せると、唖然とされます。ちょうど、表面が剥がれはじめており、脱落している屋根材の実物を見せると言葉を失ってしまうお客様も多くいらっしゃいます。金属屋根でのカバー工法を行うことで『提案どおり、金属屋根にして正解だった』とおっしゃっていただけるお客様が実に多くいらっしゃいます。
● 街の屋根やさんのコメント
『どうせなら先々、心配のない最も強い屋根を』というリクエストもお客様よりいただきます。ガルバリウムよりも耐用年数が長いSGLの中でもさらに長寿命が期待できる長いフッ素塗装の屋根材があります。遮熱塗装もついているので、『夏でも意外と暑くならないね』とお喜びの声をいただいております。
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パミールのまとめ
●パミールの寿命は一般的なスレートの半分以下、築十数年でボロボロになり、屋根材としての機能を喪失します
●パミールへの屋根塗装は不可能です。塗り替えをしても剥離は止まりませんので、無駄になります
●パミールの現実的なメンテナンスは屋根葺き替えか屋根カバー工法です。屋根材がパミールという方は雨漏りなどが発生する前に屋根リフォームをしましょう
●ご自宅の屋根がパミールかもしれないという方は図面や仕上げ表、仕様書などでご確認ください。専門業者へ点検依頼も検討しましょう
この記事の監修者
富田 功義
▼保有資格
2級建築施工管理技士・雨漏り診断士・一般建築物石綿含有建材調査者
20,000棟以上の施工実績を持つ『街の屋根やさん』多摩川支店の支店長。
赤外線カメラを使用した雨漏り調査など、幅広いお悩み事に対応可能なリフォームアドバイザー。
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