雨漏りしにくく経済的な切妻屋根、三角屋根のメンテナンスを徹底解説
更新日 : 2024年02月19日
更新日 : 2024年02月19日
切妻屋根、三角屋根といったシンプルな形状の屋根は、施工しやすいという経済的な理由や、シンプルな形状だから雨漏りにも強く、メンテナンスしやすいといった理由で日本の屋根の過半数近くを占めています。
こちらのページでは、メリットとデメリットを踏まえた上で、屋根の健康を維持するためのメンテナンス方法を解説いたします。 ご自宅が切妻屋根の方、是非参考にしてください。
目次【表示】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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切妻屋根とは
ほぼ同じ長さの2つの面だけで構成されており、妻側(屋根の棟に対して垂直の壁)から見ると、屋根がほぼ2等辺三角形になっているものを切妻屋根と呼びます。このことから分かりやすい呼び方として「三角屋根」との通称があるのも切妻屋根の特徴です。
同じく妻側から見れば、破風板や斜めに取り付けられている軒天も見えます。数ある屋根の中でもシンプルな形状のものです。
この切妻屋根は最も普及している屋根の形状であり、一般的な戸建てにおいては正確な統計はないのですが、恐らくは5割近くが切妻屋根だと考えられます。
2017年のデータでは現在も太陽光発電を屋根の上に設置することが流行っているので、切妻屋根の新築物件は4割程度に減少したとされていますが、それでも選択率は堂々の1位です。70年代などはそれこそ8割近くが切妻屋根だったというのですから、現在の割合を少なく見積もってみても5割以上はあると考えられます。切妻屋根がここまで普及したのは数多くのメリットを備えているからです。
切妻屋根の最大の特長は建てる時も、建てた後も、低コストで済むということです。現在のお家の屋根が切妻だという方、ちょっと嬉しくなったのではないでしょうか。これだけ普及しているのには皆に受け入れられるようなメリットがあるからなのです。
シンプルだから施工コストがかからない
屋根の面が4面ある寄棟屋根と較べてみましょう。屋根の造りを較べてみますと切妻屋根は長方形が2面で構成される屋根であり、寄棟屋根は台形2面に三角形2面で構成されています。垂木と母屋で長方形が2面の骨組みを作り上げるのと、台形2面と三角形2面の骨組みを作り上げるのではどちらが労力が必要でしょうか。
切妻屋根は形状がシンプルなため
施工費用も抑えることができます
切妻屋根は形状がシンプルなため
施工費用も抑えることができます
また屋根面に屋根材を葺いていく場合でも切妻屋根は基本的に屋根材を水平と垂直方向にしかカットする必要がありません。寄棟屋根は水平と垂直方向の他、斜めにカットする必要も出てきます。労力がかなり違うことが分かると思います。
雨漏りしにくく、メンテナンスもしやすい
屋根においても、外壁においても、雨水の浸入口となりやすいのは建材と建材の接合部です。各屋根材の雨水に対する性能はさておき、ここは屋根の接合部、面と面が出会う部分、棟について注目してみましょう。
切妻屋根において棟は屋根の中央、大棟の1箇所だけです。寄棟屋根は大棟と隅棟の計5箇所、ピラミッド形の方形屋根は4箇所となります。もちろん、この接合部である棟の少ない方が雨漏りリスクも少なくなります。
招き屋根は1箇所だけですが、切妻屋根とは違い、屋根の大きな片面部分に多くの雨水が流れるため、そちらが傷みやすいというリスクがあります。
片流れ屋根は棟がないように見えますが、屋根の高い部分が棟としての機能を持っており、見た目からも分かるように雨が入りやすそうな形状をしています(もちろん、しっかり施工されており、対策がなされていれば雨漏りすることはありません)。
したがって、切妻屋根は最も雨漏りしにくい屋根と言える訳です。
万が一、雨漏りしたとしても、棟が1箇所しかないため、雨水の浸入箇所がある程度、特定しやすいのです。したがって、メンテナンスもしやすい屋根と言えます。
小屋裏の通気を確保しやすい
小屋裏とは天井裏のことです。切妻屋根は屋根の面の長さが左右で均等のため、湿気や熱気が偏りなく小屋裏の頂点へと集まってきます(実際には屋根の下のお部屋のレイアウトやそのお部屋の目的に左右されます)。
また、屋根が二等辺三角形の形状をしているため、その頂点の下に通気口(妻換気)を設けやすいといった特徴もあります。お部屋の熱気やジメジメを排出しやすいので、快適な室内を実現させやすいのです。換気棟と組み合わせれば、快適度はさらに上るでしょう。
通気口(妻換気)と換気棟の組み合わせで
さらに小屋裏の通気を確保しやすい
通気口(妻換気)と換気棟の組み合わせで
さらに小屋裏の通気を確保しやすい
落雪する場所を予測しやすい
切妻屋根は2面の屋根ですから、降り積もった雪はそれぞれの面に沿って落雪することになります。したがって、落雪する場所も分かりやすいのです。
「ここの部分の屋根はお隣との距離が近いから雪止めを千鳥配置にして二重に付けておこう。こちらはお隣との距離が充分にあり、敷地も広いから一段でも大丈夫」と予測を立てやすいのはありがたいですよね。予め雪が落ちてくる場所が分かれば、落雪被害を防止するのにも役に立ちます。
ただし、積雪が2つの方向にしか分散されないため、それぞれの場所での落雪が多くなるというデメリットがあることも忘れないでください。
和風・洋風、どんなデザインの建物にも合いやすい
切妻という字だけを見ると、とても和風な建物を思い浮かべてもおかしくはないのですが、実際に街中で切妻屋根の建物も見てみると和風・洋風・和洋折衷とさまざまな物が存在します。どれも似合っていますよね。
外壁などの意匠にもよるのですが、屋根を急勾配にして大きくすればヨーロッパの山中にある洋風の建物になります。外壁に漆喰を使い、垂木や母屋を見せる造りにすれば、純和風にもなります。どんなデザインにも似合うということは無個性ということもできるのですが、それだけ万能で洗練された形状とも言えるわけです。
切妻屋根の建物の外壁に注目してみましょう。雨樋が付いている鼻隠し側は軒が外壁に覆い被さるような構造となっていますが、破風の側は屋根が延びたまま切られたような形状になっています。
形状を見ただけでも分かるように、破風側の外壁は雨がそのまま当たることが多いのです。したがって、切妻屋根には破風も傷みやすければ、その下の軒天も傷みやすい、その内側にある外壁も傷みやすいというデメリットが存在します。
近年、その数が増えている軒の出が短い住宅(軒ゼロ住宅)では特に注意が必要です。対策としてはお家を購入する際、軒の出が長い建物を選ぶしかないということになります。既に購入済みという方はどのように対策すべきか考えてみましょう。
& 形状を見ただけでも分かるように、破風側の外壁は雨がそのまま当たることが多いのです。したがって、切妻屋根には破風も傷みやすければ、その下の軒天も傷みやすい、その内側にある外壁も傷みやすいというデメリットが存在します。
近年、その数が増えている軒の出が短い住宅(軒ゼロ住宅)では特に注意が必要です。対策としてはお家を購入する際、軒の出が長い建物を選ぶしかないということになります。既に購入済みという方はどのように対策すべきか考えてみましょう。
屋根リフォームで軒の出を延ばすといったことも不可能ではないのですが、屋根の母屋や垂木といった内部から変更を行わなくてはならないので現実的ではありません。他の部分には手が掛からないのですから、その分、こまめに点検し、こまめにメンテナンスしてあげましょう。
こまめに点検、こまめにメンテナンスしてあげましょう!
こまめに点検、こまめにメンテナンスしてあげましょう!
切妻屋根の建物において屋根を除けば、最も雨がかかりやすいところです。それだけに傷みやすく、定期的なメンテナンスを必要とします。破風の材質は古めのお住まいの場合は木製、それよりも新しいお住まいの場合は窯業系サイディングであることがほとんどです。どちらも雨水の吸収を防ぐために定期的な塗装が必要になります。
塗装しても耐用年数を期待できないような場合はガルバリウム鋼板の板金を使って、破風をまるごと包んでしまうような破風板板金巻きによるメンテナンスがお薦めです。破風板を雨水から完全にシャットアウトしてしまう上に丈夫なガルバリウム鋼板なので20年前後の耐用年数を期待できます。
寄棟などとは違い、屋根に守られている部分が少ないので、こちらも傷みやすい部分です。表面の塗膜が傷んでいないか、雨染みができていないなどを定期的にチェックしてあげましょう。こちらも基本的なメンテナンスは塗装になります。
一般的な戸建て住宅において外壁塗装は10~15年に1度必要と言われていますが、切妻屋根の建物においてはそれよりも早めに行った方が良いケースも存在します。
チョーキング現象(白亜化現象)が発生したら、早めの外壁塗装を検討してください。軒の出が短い住宅の場合は外壁塗装などのメンテナンスの頻度はさらに高くなります。
現在の建物は屋根の基本形状が切妻であっても、建物がシンプルな四角形ということは少なく、多少なりとも出っ張りがあったり、引っ込みがあったりします。そういった形状の影響を屋根も受けるわけで、2面だけで構成される切妻屋根はほとんどありません。
こういった場合、屋根に谷板金(谷樋)などが設けられることがあります。雨漏りしにくいと言われている切妻屋根であっても、谷板金があるとなれば話は別です。谷板金は雨漏りしやすい箇所ですから、「切妻屋根だから」と言って安心しているわけにはいきません。こちらの定期点検も必要になります。
また、完全な切妻であっても、ドーマーなどが設けられている場合は雨水の流れを妨げることになるため、やはり雨漏りリスクは高まります。こちらも切妻屋根だからと安心せずにこまめな点検が必要になります。
寄棟屋根然り、陸屋根然り、方形屋根然り、屋根においては名が体を表していることがほとんどです。寄棟屋根は棟を四方から中央に寄せているから寄棟ですし、陸屋根は陸のように平らで、方形屋根は正方形の「方形」です。
切妻屋根については想像するのが本当に難しいのですが、じつはこれも名が体を表しているのです。
建物の棟の両端の壁のことを「妻壁」、あるいは「妻」と呼びます。切妻屋根はこの妻の部分で屋根が切り落とした形状をしているので切妻なのです。
妻は「端」の意味でその昔、奥さんは部屋の端にいることが多かったから、その語源になったとも言われています。何とも奥ゆかしい話ですね。ちなみに妻は刺身に添えられてくる大根の細切りのツマと同じで端にあるもの、端に添えられるものという意味だそうです。日本語は奥深いものです。
屋根の形状の変更は可能だが…
「屋根の勾配が緩いので、雨水の流れが悪く、過去に何回か雨漏りしている。屋根の勾配を急にして雨水の流れを良くしたい。」という方が稀にいらっしゃいます。屋根の勾配を変える、屋根の形状を変えると言った屋根リフォームもある程度の制約があるものの、不可能ではありません。
メリットの多い切妻屋根をわざわざ他の形状に変更したいという方はいらっしゃらないと思います。
屋根の勾配を変える、屋根の形状を変えるといった工事は小屋組み(屋根内部の骨組み)から変更せねばならず、かなりの高額となります。
屋根の上で雨水が上手く流れないなどのトラブルは屋根の勾配を変更するのではなく、排水性が高い金属屋根材にしたり、水切れがよくなるような葺き方で解決するのが現実的です。瓦から金属屋根材に変えるだけでも排水性能はアップしますし、金属屋根材には緩勾配にも対応できる製品が数多くラインナップされています。
ご自宅の屋根が切妻という方、かなり多いのではないでしょうか。一口に切妻屋根と言っても、使われている屋根材は瓦からスレート、金属、アスファルトシングルとさまざまです。貴方のお家の切妻屋根は大丈夫でしょうか。
前述の通り、切妻屋根は妻側(破風がある部分)の外壁に雨水がかかりやすく、その部分のしっかりとした点検が必要になります。街の屋根やさんの点検は無料ですが、屋根だけじゃなく、建物全体をしっかりと調査いたします。「屋根は大丈夫と言われて安心していたけど、外壁から雨漏りしてきて再度の点検と修理が必要になった」ということが起こらないようにするため、建物全てを点検致します。
「お家の屋根、何年も点検を受けてないから心配」という方も、「先日の悪天候でダメージを受けていないか不安」という方も、まずは街の屋根やさんの無料点検をお試しください。経験豊富なスタッフが現地でしっかり点検し、その時に撮影し画像をお見せしながら、お客様とそのお家に対して最適のアドバイスを致します。
切妻屋根のまとめ
●切妻屋根は本を伏せたような形状のシンプルな三角屋根です
●シンプルだから施工しやすく、初期コストを抑えることができます
●シンプルだからメンテナンスしやすく維持コストも抑えることができます
●雨漏りしにくいというメリットもあります
●小屋裏の通風を確保しやすいのも特長です
●落雪する場所を予測しやすいので、その対策も立てやすいのです
●和風・洋風・和洋折衷とどんなデザインの建物にも似合います
●切妻屋根の弱点は破風の下の外壁に雨が掛かりやすいことです
●切妻の「妻」は棟の端の壁のことで、そこで屋根が切り取られたような形状になっているから切妻屋根です
●切妻屋根から他の形状に屋根を変更することも可能ですけど、大掛かりな工事になります
●切妻屋根の点検も街の屋根やさんにお任せください
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