瓦・スレート・金属 あなたの屋根はどのタイプ?
和風と洋風のテイスト、現代的と伝統的の時代感、現在はそれらの枠を飛び越えた様々なデザインの建築が増えました。一般的なお住まいも実に多彩です。
また、それに合わせて屋根の形状も多様になってきました。オーソドックスな三角屋根、地球環境に配慮し太陽光発電を数多く載せられるように南斜面を広く取った屋根、そして用いられる屋根材も伝統的な和瓦から最新のハイブリッドのものまで多種多様です。これから屋根の葺き替えやカバー工法などで屋根リフォームを検討している方にとっては屋根材の見た目はもちろん、それぞれの屋根材の特徴やメリットはとても気になりますよね。
ここでは住居に用いられることの多い屋根材、瓦、スレート、金属、ハイブリッドの特徴やメリット、デメリットについて説明します。是非ご自宅の屋根のメンテナンスやリフォームの際に参考になさってください。
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長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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一口に金属屋根と言いましても、その素材は鋼板、アルミ、ステンレスと様々なものがあります。また、金属の配合率やメッキの方法によっても細かく分けられます。その中でも耐久性と耐候性に優れているのが「ガルバリウム鋼板」で、高い評価を受けています。サビにも強く、コストパフォーマンスも高いのでお薦めです。
また、材料自体が軽量かつ自由な形に加工できる事から、耐震性を考えた葺き替えやカバー工法に向いています。
金属屋根にはどんな種類の屋根材がある?
代表的な金属屋根素材と言えばガルバリウム鋼板の屋根材、そしてトタンの屋根材でしょう。現在では新築や葺き替えなどのリフォーム時には多くのケースで「金属屋根」と言えば耐食性・耐熱性・耐用年数に優れたガルバリウム鋼板の屋根材を使用しますが、築年数が古いお住まいや倉庫などではトタンが使用されている建物もまだまだ存在します。
金属屋根の重さ
以前は金属屋根というと素材の特性上こうしたデメリットに不安を抱えていらっしゃる方が多くいらっしゃいましたが、メーカーの努力により遮熱性では硬質ウレタンフォームの断熱材や輻射熱を反射するためのアルミラミネート等を一体成型することにより断熱・遮熱性能のアップ、また吸音材や遮音材を屋根材の裏に張り合わせることにより遮音性をアップさせるなど、こうしたデメリットを解消した商品も開発・販売されています。
屋根カバー工法や屋根の葺き替えをお考えの方には、現在の屋根より軽い屋根材への葺き替えをお薦めしております。
なぜなら屋根の重量は耐震性へ直結しており、軽ければ軽いほど減震が期待できるからです。ちなみにガルバリウム鋼板の屋根であれば100㎡当りで計算すると瓦屋根の約1/10、スレート屋根の約1/3程度の重量しかありません。
地震大国日本では様々な耐震技術が発達し、建物に取り入れられていますが屋根においても葺き替え時に軽量な金属屋根を採用することでお住まいの耐震性能を向上させることができるのです。
またカバー工法においては既存の屋根材に重ねるように新たな屋根材を新設します。当然これまでよりも屋根の重量が増しますから極力軽量な屋根材をお選びいただく必要があるため街の屋根やさんではガルバリウム鋼板をお勧めしているのです。
※コロニアルやカラーベストなど呼び方が変わりますが、どれも同じものを指しています。
本来、スレートとは粘土版岩を屋根材として適した形(薄い板状)に加工したものです。ヨーロッパや日本の宮城県などで古くから屋根材として使われてきました。現在、主に屋根材として使われているものは人工スレートで、前述の天然ものとは別物です。天然スレートは非常に高価な建材です。
人工スレートにはアスベストが含有している石綿スレート、含有していない無石綿スレート、セメント系スレートなどがあり、環境問題から石綿スレートは製造されなくなりました。過去、石綿(アスベスト)を含む建材が多く使われていたため、現在では解体時の環境負荷が懸念されています。お住まいに石綿を含む建材が使われていても破壊しない限り、飛散はしませんので安心してお過ごしください。
我が家のスレートには石綿(アスベスト)が含まれている?
アスベストと聞くと、健康被害を誘発する物質として怖い印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
先述もしましたが破壊でもしない限り健康に対して危険ということはなく、国土交通省の資料では屋根材に含まれるアスベストは発塵性において最も危険度が低いと分類されています。
とはいえご自宅がスレート屋根でアスベストがふくまれているのか?いないのか?気になる方も多いですよね。
特に屋根葺き替えを行う際に現在のスレート屋根を撤去する形になりますから、アスベストが含まれている・含まれていないで撤去費用も変わります。
実はご自宅の屋根にアスベストが含まれているか・含まれていないかはお住まいをいつ建築したのか?新築時に使用された屋根材で判断することが可能です。
スレート屋根の重さ
スレート屋根のデメリットにある苔や反り、割れといった現象は屋根材の特徴に起因します。セメントが主成分のスレートは性質上、水を吸い込みやすい素材です。当然屋根材が水を吸い込めば苔や藻の絶好の繁殖場所となりますし、濡れる・乾くを繰り返すことで「反り」が起こったり、また特に冬場、夜間と日中との気温差によって膨張を繰り返した屋根材が「割れ」といった劣化を引き起こします。
そうしたことから屋根材を防ぐためスレート屋根では定期的な屋根塗装を行い、劣化や不具合を防いでいく必要があります。
一般的に粘土を成型し、焼成とした屋根材を瓦と言います。瓦のような形態の他の屋根材も金属瓦、スレート瓦と呼ばれることがあるので、区別するため粘土瓦や焼き瓦という名前が使われることもあります。他にセメントを原料にしたセメント瓦もあります。
粘土瓦や焼き瓦の優れた点は何と言っても耐久性です。釉薬が塗られた釉薬瓦などは半世紀以上の耐用年数を期待することもできるのです。また他の屋根材に較べて断熱性も優れています。
和瓦は他の屋根材のように塗装が必要なく、美しさを長く保つことができます。
瓦屋根の重さ
先述もしましたが瓦は金属屋根材やスレート屋根材と違って塗装によるメンテナンスを必要としません。そのため瓦屋根自体を「メンテナンスしなくても良い屋根」と勘違いしてしまう方がいらっしゃいます。これは大きな間違いです。
例えば瓦、台風によって飛ばされたり、何かが落ちてきて割れてしまう事も考えられますよね。そうなれば瓦のずれ補修、もしくは差し替えといった補修が必要となります。
また屋根は屋根材(瓦)以外にも垂木や野地板、防水紙、棟瓦を固定する漆喰など多くの部材によって屋根が構成されています。(詳しくは屋根の構造をご覧ください)
また外壁との取り合い部分や谷部分といった雨水の通り道には雨仕舞が施工されています。こうした部材には耐用年数があり、いくら瓦自体の耐用年数が長くても適切な交換、メンテナンスが求められます。そういう意味では瓦屋根と言えども決してメンテナンスフリーではないのです。
セメント瓦・モニエル瓦は和瓦(粘土瓦や焼き瓦)とどう違う?
「瓦」とついていることから、屋根材の名前だけ見ると和瓦と同じようなものなのかな?と思ってしまいませんか?実はセメント瓦・モニエル瓦と和瓦では素材もメンテナンス方法も全く違うのです。
そもそもセメントを主成分として成形されたセメント瓦やモニエル瓦は定期的な塗装が必要となります。つまりスレートと同じなんですね。それは塗膜によって防水性を保持しているためで、塗膜が剥がれてしまえば屋根材が雨水を吸い込み割れや最悪雨漏りといった被害を生んでしまう事になります。
アスファルトをガラス繊維に含浸させ、その上に自然石粒(着色した砂)を圧着したのがアスファルトシングルです。
アスファルトシングルが他の屋根材と違うところは柔軟性があるところです。曲面などにも施工することができます。また、カッターなどで切断して加工することができます。大型のホームセンターなどで手に入れることもできるので、柔軟性と加工のしやすさからDIYで物置を作ったりするときに使う方も多いようです。
アスファルトシングルの重さ
欧米では非常に一般的な屋根材であるアスファルトシングル。特にアメリカでは70%以上の住宅に使われているともいわれています。
日本においては「シングル材」などと呼んだりしますね。金属屋根や瓦屋根、スレート屋根などとは違った雰囲気もあり、曲面などにも葺けるというメリットはありますが、まだ国内ではそれほど一般的とは言えません。そのためアスファルトシングルを扱ったことがないという業者もいらっしゃいます。
もっとも風や雨の影響を受けやすい屋根ですからその施工には適切な施工方法や使用するべき材料があります。アスファルトシングルを使った屋根リフォームを検討している方は施工経験がある業者、きちんと知見をもった業者にお願いすることをお勧めします。
このページでは屋根材別に屋根を分類していますが、陸屋根はある意味特殊ということで加えました。
勾配(傾斜)がなく、陸のように平らな屋根が陸屋根です(実際には排水のため、ほんの少し勾配がついています)。「ろくやね」とも「りくやね」とも読みます。
最近はこのような屋根のお住まいも増えてきました。屋上などを設けることもできるので、非常に夢が広がる屋根です。
スレートや金属屋根に塗装が必要なように、陸屋根にも定期的なメンテナンスが必要となります。それがトップコートの塗り替えや防水工事です。
紫外線や風雨の直接の影響を受ける屋上はもちろん、ベランダやバルコニーも同様です。陸屋根にお住まいの方は是非防水工事についても理解しておきましょう。
一般的なお住まいの場合、これまでのタイプにほとんど当てはまると思います。大型のスポーツ施設などは前述のものに当てはまらないものもたくさんあります。

いわゆる東京ドームの屋根です。フッ素樹脂でコーティングされたガラス繊維の二重の膜が屋根になっています。
28本のケーブルによって支えられており、総重量は400トンに達します。

福岡のヤフードームが有名です。同じ場所で野外と屋内、両方を楽しめるというとてもぜいたくな屋根です。維持・管理にとてもお金がかかりそうです。日本にはヤフードームの他に石川県のこまつドーム、仙台市屋内グラウンド、兵庫県立但馬ドームがあります。

ケイミュー株式会社「ROOGA」シリーズ
樹脂膜によって覆われた気泡と樹脂繊維を混ぜ込み、成型した瓦。重さは従来の瓦の半分以下。
また、屋根を軽くするための工法にもこだわっており、ROOGA独自の乾式工法を採用している。

ガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板(ガルバリウムとほぼ同じ鋼板)にストーンチップ(石の粒)を焼き付けたもの。
ベースが鋼板なので金属屋根としてカテゴライズされる場合もある。表面が石なので雷が落ちにくいと言われている。
瓦・スレート・金属 あなたの屋根はどのタイプ?まとめ
●金属屋根にはトタン素材の屋根やガルバリウム鋼板の屋根材があります。
●軽量であるため耐震性に優れ、比較的安価で燃えにくく、防水性にも優れているというメリットがあります。
●遮熱性や断熱性、遮音性にも優れた金属屋根も次々と開発され、販売されています。
●塗装による定期的なメンテナンスが必要で、塗装を怠ると屋根材自体が雨水を吸い込み苔や藻の発生、割れや反り、また雨漏りといった被害へと繋がります。
●瓦の特徴はその耐久年数の長さです。釉薬瓦などは半世紀以上の耐久年数を期待できます。
●屋根材の中で最も重たい屋根材で、100㎡の屋根であれば軽自動車8台分の重さがあります。
●瓦自体の塗装メンテナンスは不要ですが、屋根を構成する野地板、防水紙、雨仕舞板金などは適切なメンテナンスが必要です。
●「瓦」という名前はついていてもセメント瓦・モニエル瓦は素材もメンテナンス方法も異なり塗装が必要な屋根材です。
●デザイン性や曲面にも葺けるなど他の屋根材にはない特徴を持つ屋根材がアスファルトシングルです。
●アスファルトシングルでの屋根リフォームを検討中の方はアスファルトシングルの施工経験を持つ業者を選定することをお勧めします。
●勾配がなく、陸のように平らな屋根を陸屋根と言います。
●他の屋根材同様メンテナンスが必要で、陸屋根はトップコートに塗り替えや防水工事が必要となります。
●それ以外にもハイブリッド瓦やストーンチップ鋼板など屋根材は常に進化を続け、様々な屋根材が登場してきています。
この記事の監修者

富田 功義
▼保有資格
2級建築施工管理技士・雨漏り診断士・一般建築物石綿含有建材調査者
20,000棟以上の施工実績を持つ『街の屋根やさん』多摩川支店の支店長。
赤外線カメラを使用した雨漏り調査など、幅広いお悩み事に対応可能なリフォームアドバイザー。
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