屋根塗装の色選びでチェックしておきたい4つのポイント
更新日 : 2022年10月25日
更新日 : 2022年10月25日
屋根塗装・住宅塗装での屋根の色にお悩みですか?
これまでと同じ色もいいけれど、気分を変えて違う色にもしてみたい。外壁の色を変えると同時に合う色に変えたい。人気の色で塗装したい。インターネットなどでいろいろな例を見れば見るほど迷ってしまいますよね。
このページでは、屋根塗装の際、色を決めるときに何を重要視すれば良いのか?人気の色は?屋根塗装の色選びに役立つポイントと注意点をまとめています。
近年では機能性塗料が注目を浴びており、遮熱はもちろん断熱、低汚染、防藻・防カビなど、塗装だけで体感温度が変わる、美観性が維持できるといった高機能な塗料が多数発売され、こうした機能性を重視するという方も増えてきました。
ところが色選びを間違えるとその塗料の効果も半減してしまうかもしれません。
見えない部分だからと何となく選んでしまいがちな屋根の塗装色を見直し、機能性の向上・イメージチェンジに役立てていただければ幸いです。
目次【表示】
暗色系の屋根は安定感や高級感を生む
屋根の色といえばグレーや黒、ダークブラウン系など暗めの色が選ばれるケースが多く、今現在お住まいの屋根は暗色系、ご近所を見渡してみても濃く暗い色の屋根がほとんど、という方が多いでしょう。
昔ながらの和瓦に黒やグレー、いぶし銀が多かったことの名残でもあると思いますが、確かに多くの方が屋根には暗めの色を選びがちです。
一番の理由は、一般的に薄く明るい色が多い外壁とのバランスがとりやすいからでしょう。外壁を明るい色、屋根は暗い色にすることで家全体の配色にメリハリができますし、黒やグレーはどんな色とも合わせやすく、どっしりとした高級感が生まれ好まれます。
ですから屋根塗装の際にあまりこだわりのない方や迷って決められない方でも暗めの色にしておけば間違いないと言われるのです。
暗い色は汚れが目立たない?
屋根の色として暗い色を選ぶ理由に「汚れが目立たないだろうから」と仰る方もいます。
しかしそうとも限らないのです。屋根塗装直後はピカピカで発色も良いのですが、日々紫外線や雨風にさらされることで塗膜は劣化します。これは避けられません。するとまず現れるのが色褪せです。元々が濃い色である方が色褪せは目立ってしまうでしょう。
また、塗膜が劣化すると撥水性も低下してきます。特に屋根材がスレートやセメント瓦など水を吸収する素材の場合、発生しやすいのが苔や藻です。この苔や藻は茶色や黄色っぽく見えるものが多く、これが暗い色の屋根につくと大変目立つのです。
もちろん明るい色に塗装したとしても同じように色褪せや苔・藻の発生が起こりますが、暗い色だからといって必ずしも汚れが目立たないかというと実はそうでもありません。
3階建てで屋根が高い、緩勾配(角度が緩い)などで屋根はあまり見えないから色は何でも良い、と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、せっかく屋根塗装をするのであれば、さまざまなポイントを踏まえたうえで検討し決めてみませんか?
4つのポイントをご紹介します。
遮熱塗料・断熱塗料を選ぶ方は特に注意!
数十年前よりも夏の平均気温が高くなりました。特に2階や3階、屋根の直下にあたる部屋が暑くなってたまらない、という方に近年よく選ばれているのが、遮熱塗料や断熱塗料といった「室内温度の上昇を抑制できる塗料」です。
屋根塗装では当たり前のようになってきた遮熱塗料や断熱塗料、塗装工事をご検討中なら聞いたことがある方も多いでしょう。
ところで、遮熱・断熱、仕組みの違いはご存じでしょうか?
遮熱= 暑さの原因でもある太陽熱を反射し熱吸収を抑え、熱放射を防ぐこと
断熱= 内部に伝わる熱を小さくすること
遮熱塗料・断熱塗料は上記のような機能で屋根から室内に伝わる熱を軽減します。一見すると色は関係ないかのように思えるかもしれません。しかし色が持つ熱の吸収率というものがあります。
黒は熱を吸収、白は反射、これは服装の色を決める時にも皆さん考えたことがあると思います。自動車メーカーからも白色と黒色の同車種を同じ場所に同じ時間置いておくと、黒色の自動車は白色よりも10℃近く車内温度が高くなると発表されています。屋根や外壁もそれらと全く同じ考えです。
「2階の部屋が暑いから遮熱塗料を使いたい」とよく耳にします。外壁との相性を考えた結果、屋根がブラック…では意味がないのです。暑さ対策を研究した遮熱塗料だからこそ機能を持たない通常塗料のブラックと比較すれば多少の効果は感じ取れるかもしれません。しかし遮熱塗料のブラックと通常塗料のホワイトであれば、恐らく通常塗料の方が遮熱効果よりも高い効果が期待できると思います。
これは塗料メーカーからも「日射反射率」という形で数値が発表されています。反射率が高い方が、温度が上がりにくいのです。
日本ペイント「サーモアイ」シリーズ
クールブラック 全日射反射率28.4%
クールホワイト 全日射反射率91.0%
色は不思議な効果を持ちます。高温で美味しいお米を炊くために炊飯器の内側を黒くしている等、身近な生活の中でも色の効果は大きな影響を与えることがわかりますね。同じ考えで見れば室内が暑いのであれば白系の色を屋根塗装に選ぶのがベストです。
しかし住宅の屋根を真っ白に塗装される方は少ないかもしれませんね。それこそ雨だれ等の汚れが目立つでしょう。それなら、少しでも明るい色を選ばれるのがお薦めです。
ではそれを考慮に入れつつ、人気の高い屋根塗装の仕上げ色をご紹介します。
人気の屋根色には理由があります
屋根塗装の色選びに関して気になるポイントといえば
① 美観性(汚れや苔が目立たないか)
② 外壁や窓枠(サッシ)の色と相性が良いか
③ 機能性を損ねないか(遮熱・断熱)
④ 周辺環境に馴染むか
かと思います。上記4つのポイントを押さえた人気の色・お薦めの色系統はこちらです。
グレー(シルバー・アッシュ)
ブラックでは暑さが気になるしつまらない、そんな方々が選ぶことの多いグレー系(ダークグレー・ライトグレー)はホワイトに近づけるほど遮熱・断熱効果を損ないませんがホワイトよりも汚れも目立ちにくい仕上がりです。彩度が低く相性の悪い外壁の色もありませんのでどのような住宅でも「協調性・柔軟性」を感じさせる上品な仕上がりになります。
グレー系屋根塗装の事例
同じグレーでも、明るいライトグレーを選ぶとモダンな雰囲気になります。
グレーは「無彩色」、つまり明確な色がないので外壁が鮮やかでも邪魔になりません。
ブラウン(茶・チョコレート)
ブラウンは、やはりブラックよりも遮熱・断熱効果に期待が持てるだけでなく柔らかい印象で「癒し・落ち着き」を与えます。イエロー系・ベージュ系の暖色系の色を外壁に使用したいという方々から高い人気を誇っています。
ブラウン系屋根塗装の事例
同系のブラウン外壁に合わせても非常に落ち着いた雰囲気になります。
赤みの強いブラウンなら白やクリーム系の外壁でも華やかさをプラスできます。
グリーン
自然色として挙げられるグリーンは見る人に対しても「調和・安心・癒し」を与えます。グリーンといってもモスグリーンからライトグリーンまで幅広く、色調によって外壁の色はしっかり考えないといけませんが、グリーンの屋根は汚れも目立ちにくく、淡色にすることで機能も損ないません。
グリーン系屋根塗装の事例
クリームやイエローの外壁と組み合わせるとかわいらしい印象になります。
エメラルドグリーン系は非常に明るくおしゃれな仕上がりになります。
ご紹介しました3色以外にもブルーやレッドが気になるという方も多いです。
新築・リフォーム時には新規屋根材を発注しますが、多くがブラック・ブラウン、あってグリーン・ブルーの4色程度しか用意されていない為、好きな色で塗り替えられるというのは嬉しいですよね?
屋根にブルーやレッドなど個性を出す場合は、外壁は彩度の低いホワイト系やグレー系、もしくは屋根色と喧嘩しない同系色になるケースがほとんどです。
少し視点は変わりますが、今度は機能性ではなく色が人に与える心理効果をご紹介します。
選んだ色でどんな印象を与えるのかも見てみるとより一層色選びが楽しくなりそうですね。
ブルー
「清潔・クール・落ち着き」を与える他、寒色効果もあるブルー系ですが、近年ネイビーが非常に人気の高いカラーとして挙げられます。ブラック程ではありませんが適度な引き締め効果・清潔感を与え汚れも目立ちにくい色です。
レッド
情熱の赤ともいわれるレッドは「パワフル・アグレッシブ」、活発なイメージを与えますが、少し深みを持たせるだけでエレガントさを感じさせます。「危険・注目」といった印象もあり赤信号で活用していますね。
イエロー
「明るい・解放感」を感じさせるイエローは脳の回転も速くする効果があり集中力が高まる色としても知られます。と同時に、「注意喚起・奇抜」なイメージが看板や黄信号で役立っています。暖色ですので少し明度を抑えるだけで親しみやすい印象になりそうです。
ホワイト
真っ白なホワイトの場合「清潔感」と同時に「浮世離れ」した印象も与えます。洋館やお城もホワイトが多いイメージですよね。それと同時に近寄りがたい印象も与えますので、少し柔らかい印象を与えたい場合はオフホワイトやアイボリーがお薦めです。
※実際よりも大きく見せる効果もあります。
ブラック
同じものでも一際「高級感」を感じさせる色です。何も考えず選んだものがブラックだったという方は多いかと思いますし、どんな色とも相性は抜群です。
※引き締め効果があるため、実際よりも小さく見せる効果があります。
いくつかご紹介しましたが、おそらく皆さんが感じている色へのイメージは似通っているかと思います。また住宅に使用するケースはほとんどないと思いますが、原色は色あせしやすい傾向がありますし住宅全体のバランスを取るのが難しくなります。
景観法や周辺環境への配慮もありますので、あまりにも奇抜な色は避け、心理・イメージ効果、屋根・外壁とのバランスを考えながら色選びを楽しみましょうね。
今回は屋根塗装の色選びとして塗料の機能性も踏まえご紹介させていただきました。急勾配屋根の住宅はより一層屋根の色を重要視するのですが、緩勾配屋根・狭小地住宅・3階建て住宅の場合は何となくで選ばれることが多いです。
しかしせっかく足場を仮設し高い費用を払って塗装を行っているのであれば、塗料の機能も無駄なく発揮させていただきたいと考えています。特に遮熱・断熱効果を求めている方は少しでも熱吸収の少ないホワイト系の色を選ぶように見直してみましょう。
また屋根が塗装で綺麗に仕上がっても外壁とのバランスが悪ければ台無しです。仕上がりのイメージがつかない、イメージチェンジを検討中という方はぜひカラーシミュレーションをご活用ください。
一般的に、外壁と屋根は同系統の色でまとめると落ちつきます。(濃グレー&薄グレー、ブラウン&クリーム、ネイビー&スカイブルー等)そして濃い色と薄い色を組み合わせることでメリハリが生まれお住まいの印象が引き締まります。それを考えると、淡色の屋根は外壁とのバランスが難しくなる傾向があるのは事実です。しかし色の配色・バランスが掴めれば「こういう家にしたい!」と周りの方が羨む家になること間違いなしです。
塗装の目的は塗膜保護ですが、見た目・機能性ももちろん大事です。色に関するお悩み、カラーシミュレーションを見てみたい、屋根補修と屋根塗装をセットで行いたいという方はお気軽に私たち街の屋根やさんへご相談ください。
面積効果
屋根塗装で色を決める際、まずはカタログなどの色見本を提示されることがほとんどです。上記で説明したカラーシミュレーションを行なってくれるならさらにイメージがわきやすくなりますね。
ところが、実際に塗ってみたら想像していたものとちょっと違った、ということも多いようです。
その原因の一つが、面積効果と呼ばれるものです。
色は、小さな面積よりも大きな面積の方が明るく見える傾向があります。そのため、手元のカタログやシミュレーションサンプルで見るよりも当然屋根に塗られたものを見る方が明るい印象になるのです(外壁も同じです)。
A4程の見本板を用意可能ならそれを取り寄せて見てみたり、やや明るくなることを想定して色選びをすると良いでしょう。
天気やライティングでも色が変わる
蛍光灯の下ではなく、外の太陽の光で確認してみることでも変わってくるかもしれません。見本板を用紙した場合には必ず日向と日陰で比べてみます。カタログで見ていたものとは違う印象を持つこともあります。
曇り空や夕暮れの中でも見え方はかなり違うでしょう。
組み合わせる外壁の色でも色の見え方は変わります。あらゆるケースを想定してみましょう。
また、写真やサンプルを見て考えるだけでなく、実際の街中で他のお住まいを見るなどするとイメージしやすくなるでしょう。
周りの景観ともバランスを
ビビットで目立つ屋根にしたい!という方もいらっしゃるかもしれませんが、周りの建物や風景との調和も大切にしましょう。景観法などの制限がなければもちろんどんな色を選ばれようと自由ではありますが、あまりに周りから浮いてしまって後悔、というケースも聞かれます。
さらに、ご自宅の塀やお庭周りとのバランスも大切です。
屋根塗装の際に検討したい高耐久の機能性塗料をご紹介します。せっかく塗装するのであれば便利な機能も欲しい!そんな方は一度チェックしてみてくださいね。
サーモアイ
塗料シェア国内No.1の日本ペイントが開発した遮熱塗料サーモアイは、上塗りだけでなく下塗り塗料にも遮熱機能を持たせるW遮熱で、クールホワイトの場合は日射反射率が91.0%と非常に高い遮熱効果を持っています。
またサーモアイシリーズには外壁用や道路用等があり用途・施工箇所にあわせて遮熱効果を持たせることができます。計40色とカラーバリエーションも豊富です。
ダイヤスーパーセランマイルドIR
ダイフレックスのスーパーセランシリーズは、千葉マリンスタジアムなど大規模且つ頻繁に塗装が行えない施設や学校にも使用される高耐久塗料シリーズです。
硬膜で劣化しにくい無機塗料と柔軟な有機塗料のメリットを合わせたハイブリッド塗料のスーパーセランシリーズは25年超の耐用年数で建物を守り続けます。暑さの原因ともなる顔料「カーボンブラック」を特殊な顔料に変えることで温度上昇を抑制しています。
ガイナ
ロケットの先端部で使われている塗布するだけで断熱効果を持たせる技術を応用して出来たのが日進産業のガイナです。
断熱塗料として知られていますが、騒音・臭い・結露対策までまとめて出来る優秀な塗料です。内外装、窓ガラス用の塗料もありますので、家全体の断熱効果上昇に期待が持てる塗料です。
ここまで色のお話をしてきましたが、屋根塗装の最大の目的は「塗膜保護による屋根材劣化の防止」です。多くの屋根材は水分や傷など外的要因の影響を受けやすいため、表面の塗膜が劣化することで劣化が進行してしまいます。屋根塗装が必要な屋根材と不要な屋根材を確認しておきましょう。
和瓦
昔ながらの日本瓦は粘土を高温で焼成した素材で吸水率が非常に低い為塗装が必要ありません。ひと昔前に瓦の色褪せ対策に塗料が販売されましたが、塗膜剥がれが起き、かえって見栄えが悪くなることがあるためお薦めはしておりません。そもそも瓦の色褪せは経年劣化ではなく経年変化ですので色褪せと耐久性低下は関係ないと言えるでしょう。
セメント・乾式コンクリート瓦
表面がざらざらとしているセメント・乾式コンクリート瓦は吸水性が非常に高い為塗装が必要不可欠な屋根材です。しかし施工してからもう40年近く経過している住宅がほとんどですので、下地補修・補強もあわせ屋根葺き替え工事の方がお薦めです。塗装できる状態でしたら《モニエル瓦》かどうかの判断を適切に行いましょう。
化粧スレート
瓦に代わって多く使用されるようになった化粧スレートはセメントと繊維質を混合・圧縮した屋根材ですので塗装が必要です。2000年前後に施工された屋根材の中には割れやすい・表面剥離が起きやすいノンアスベスト屋根材がありますので、屋根塗装が妥当かはしっかり判断しましょう。
金属屋根
新築・リフォーム問わずガルバリウム鋼板が人気ですね。錆びにくく高耐久で知られる金属屋根ですが、塗装が必要ないという訳ではありません。傷がつけば錆びますし、錆びにくいといえども錆は広がり続けます。錆止め塗料で進行を防いでからしっかり塗装を行う必要があります。
アスファルトシングル
表面に石粒が吹き付けられているアスファルトシングルは、劣化により石粒が剥離することがあります。石粒の剥離を防ぐには屋根塗装が有効ですが、屋根材の性質上油性塗料が使用できませんので、必ず水性塗料でのメンテナンスを行いましょう。
陸屋根
勾配がほとんどない陸屋根は屋根材を使用しておりませんので屋根塗装は不要ですが、防水工事は必須です。トップコートと呼ばれるコーティングは塗装と思われていますが、専門は防水工事業者ですので適切なメンテナンスを行うためにも防水の種類と補修方法を把握しておきましょう。
仕上げ色に関して参考になるかもしれませんので、気になる方はぜひこの先もチェックしてくださいね。
屋根塗装時の色選びに関するまとめ
●瓦・陸屋根以外の屋根を使用されている住宅は屋根材の劣化を防ぐためにも屋根塗装メンテナンスが必要不可欠です。
●色はそれぞれ熱の吸収率が異なります。黒は吸収率が非常に高く熱くなりやすい為、遮熱塗料を使用しても高い効果が得られにくい可能性があります。
●汚れが目立ちにくい、外壁と相性が良い、機能性を損ねず、周辺環境を気にしない人気の色はグレー系・ブラウン系・グリーン系です。
●色が人に与える印象は全く異なります。機能性だけでなく好きな色、バランスを考えた色を楽しみながら選びましょう。
●屋根を綺麗に塗装しても外壁との相性が良くないと落ち着きのない住宅になってしまいます。仕上がりイメージはカラーシミュレーションでしっかり固めていきましょう。
●高耐久の遮熱塗料は年々増加しています。耐久性はもちろんカラーバリエーション、性能とコストを比較しながら決めていくことがオススメです。
●塗料の性能を最大限発揮できるよう、また配色で後悔しないよう仕上げたいイメージをつかんで屋根塗装メンテナンスに臨みましょう。
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