台風・雨漏りに弱い!?片流れ屋根の特徴とメンテナンス方法
更新日 : 2024年01月24日
更新日 : 2024年01月24日
「片流れ屋根って強風に弱いって聞いたから台風シーズンが来ると心配で…」
「片流れ屋根は雨漏りが多いみたいだけど本当なの?」
シンプルモダンでおしゃれな外観が魅力の片流れ屋根ですが、台風や雨漏りには弱いとされている側面もあります。
「自宅は大丈夫なのかな?」と不安に感じてしまいますよね。
この記事では、片流れ屋根のメリット・デメリット、また、片流れ屋根が台風や雨漏りに弱いとされる理由や対策方法もご紹介。ご不安な方はぜひ参考にしてください。
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片流れ(かたながれ)屋根とは、一方向にだけ傾斜が設けられている屋根を言います。小屋や倉庫などの屋根に用いられることが多かった片流れ屋根ですが、最近では見た目のおしゃれさに惹かれて戸建て住宅に片流れ屋根を導入する方も増えています。
もちろん見た目以外にも様々な特徴があるのですが、片流れ屋根には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。詳しく見てみましょう。
1.建物がシンプルモダンでおしゃれなデザインに仕上がる
片流れ屋根を導入するメリットとして、住宅がシンプルモダンでおしゃれなデザインになる点が挙げられます。戸建て住宅にも流行があり、若い世代を中心にシンプルなデザインが人気です。一方向にだけ傾いている片流れ屋根はとてもシンプルな構造なので、モダンでおしゃれな外観に仕上げられます。
特に見た目のお洒落さを売りにした設計事務所や工務店などでは、1寸や2寸勾配程度の緩勾配の片流れ屋根を乗せたお住まいが多かったりしますよね。
ひと昔前には「シンプルすぎてデザインがイマイチ」というマイナスな印象もあった片流れ屋根ですが、より洗練されたスタイリッシュなデザイン住宅が登場してきたことで、その印象は薄れてきました。
事実、フラット35で有名な住宅金融支援機構が行った調査によると、平成29年度には住宅の屋根形状では片流れ屋根が全体の3割以上を占める結果となりました。このように、片流れ屋根を導入する住宅は増えてきているのです。
※住宅金融支援機構【フラット35】住宅仕様実態調査報告(平成29年度)の概要PDFより
2.太陽光発電を設置しやすい
ここ10年以内に片流れ屋根の需要が増えてきた理由に、「太陽光発電を設置しやすい形状だから」というものもあります。2012年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(通称:FIT制度)がスタートし、それからは屋根に太陽光パネルを設置する住宅が増えました。
片流れ屋根は、太陽光パネルを設置して発電するにはもってこいの形状です。片流れ屋根を南向きにすれば日照時間も長めに確保できますし一面の面積が広いのでよりたくさんの太陽光パネルを設置することも可能ですよね。
(ただし、屋根の勾配が緩すぎる場合は太陽光パネルを設置できなかったり、十分な発電量を得られなかったりするケースがあります。もしこれから先、ご自宅の片流れ屋根に太陽光パネルを設置することを検討している方は、事前に業者へ相談しておくと失敗がありませんのでお勧めです。)
3.スペースを広めに確保できる
片流れ屋根のメリットとして屋根裏のデッドスペースが比較的少なく、空間を広めに確保できる点も挙げられますね。
例えば屋根の形状としてお馴染みの三角屋根(切妻屋根)の場合、家を建てる土地や構造の関係で屋根裏にデッドスペースが生まれがちですが、片流れ屋根であれば天井を高めに確保できるため、他の屋根形状と比較すると、結果的に広めの生活スペース、屋根裏スペースを確保できるというわけなんですね。
天井が高くなれば室内に開放感が生まれますし、屋根裏が広ければ収納にも活用できますね。
4.構造がシンプルなので建築コストを抑えやすい
最後に、片流れ屋根はシンプルな構造のため新築時の建築コストを抑えられる点があります。新築を検討する方にとってみればこれは大きなメリットですよね。
当然ですが屋根を複雑な形状にすればするほど、かかるコストはかさんでしまいます。最大限に無駄を削ぎ落としたシンプルな片流れ屋根だからこそ、低コストに導入できるというわけですね。
ただしこれは屋根の話だけであって、片流れ屋根にすると外壁の面積が増えますから外壁にかかるコストはアップする場合もあります。タイルなど高級な外壁材を使用する場合、外壁のコストアップで全体を見た時にはお得ではない可能性もあるので注意しましょう。
また定期的に行う外壁塗装時なども当然使用する塗料の量が変わりますからコストが余計にかかる可能性もありますね。結果的に片流れだから安くてお得!という簡単な話ではないので注意は必要です。
シンプルなデザインが特徴で太陽光発電との相性もいい片流れ屋根ですが、覚えておきたいデメリットもいくつかあります。こちらでは片流れ屋根のデメリットを確認しましょう。
1.雨漏りのリスクが高い
片流れ屋根の最大のデメリットは、他の形状の屋根と比べて雨漏りのリスクが高いという点です。複雑な屋根の形状と比較すると取り合い部分が少ないため、逆に雨漏りは少ないのでは?と勘違いされる方も多いのですが、実はそうではないのです。
2016年12月号の日経ホームビルダーで発表された内容では、国土交通大臣指定住宅瑕疵担保責任保険法人「株式会社日本住宅保証検査機構(JIO)」の雨漏り調査によると、雨漏りした住宅の75%が片流れ屋根だったという発表を行いました。このように結果が物語ってしまっている以上、雨漏りのリスクや定期的な点検、メンテナンスに他の屋根以上に気を配る必要があるのが片流れ屋根だと言えるのではないでしょうか。
2.台風など強風の影響を受けやすい
また、他の形状の屋根と比べると強風による影響を受けやすい点もデメリットとして挙げられます。屋根の形状では、傾斜のある面数が増えるほど風による影響は受けにくくなるとされています。なぜなら、面数が増えれば一方向からの風を受ける部分の面積が小さくなるからですね。
傾斜面が1面だけの片流れ屋根や、2面の切妻屋根などは、強風には比較的弱い屋根の形状です。一方、寄棟(よせむね)屋根など4面の傾斜面がある屋根の場合、一方向から受ける風の影響が小さくなるため、強風には比較的強いとされています。
3.北側斜線制限のある地域では本来得られるメリットを享受できないことも
地域によっては建築時に「北側斜線制限」と呼ばれる制限がかけられる場合があります。北側斜線制限とは、近隣の住宅の日照を確保するために、建築物の高さを制限する決まりのことです。
北側斜線制限のある地域でお住まいを導入する際、住宅の高さによっては傾斜を北向きにせざるを得ない場合があります。その場合、「太陽光発電をしやすい」という片流れ屋根のメリットが失われてしまうことになります。
片流れ屋根で雨漏りが起こりやすいのは、その構造に起因します。
特に雨漏り発生原因として多いのは、屋根の頂点に当たる棟部分です。片流れ屋根で言うと勾配が上から下へ向かって屋根が設置されていますが、勾配の上側が棟部分となります。
屋根面が二面、四面ある屋根であれば雨水は屋根材を伝って、雨樋に流れ、雨樋から地上へと排水されますが片流れ屋根の場合、三角屋根を半分に切断したように棟部分でスパッと屋根がカットされていますよね。
そのため棟で受けた雨水が屋根の裏側を伝い、「下地と破風板の間から」、また「軒天と外壁の取り合い部分から」浸入して、雨漏りへと発展してしまうのです。
また雨樋が軒先側の一箇所にしか設置されていないということも雨漏りに繋がります。
一箇所で屋根に降りかかる雨のすべての排水処理が求められるわけですので当然雨樋自体の劣化も早くなります。
雨樋が正常に働かなくなれば外壁や、屋根と外壁の取り合い部分からの雨漏りが発生するリスクが高くなってしまうのです。特に昨今のゲリラ豪雨では、短時間で爆発的な降雨に見舞われることも想定されますから、片流れ屋根における雨樋がその影響を受けて歪みや曲がり、折れるなど正常な働きができなくなれば途端にお住まいの雨漏りのリスクにさらされる危険性が高まるという事なのです。
軒ゼロ片流れ屋根はさらに雨漏りリスクが高い
スタイリッシュでシンプルなデザインを追求したために軒の短い片流れ屋根を採用した住宅にお住まいの方もいらっしゃると思います。しかし、残念ながら雨漏りを防ぐという観点では軒の短いお住まいは雨漏りに弱いと言わざるを得ません。
軒は屋根からの雨漏りを防ぐための役割も持ちます。しかし軒が短いことで外壁に雨がかかりやすくなり外壁からの雨漏りを誘発したり、屋根と外壁の取り合い部分に雨が運ばれ雨水が浸入しやすいというデメリットがあるのです。
実際のデータや構造から、片流れ屋根が雨漏りに弱いということをご理解いただけたところで、雨漏りからお住まいを守るための雨漏り対策について解説をさせていただきたいと思います。
透湿ルーフィングの増し張りを行う
片流れ屋根の雨漏りの一因は棟からの伝い水による、破風との隙間、外壁との隙間からの雨水浸入です。要するに浸入箇所があるから、雨水が入ってきてしまうわけですよね。
そうした隙間を透湿ルーフィングで棟部分から覆い、雨水の浸入箇所をなくしてしまうということですね。
覆ってしまっても大丈夫?とご不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、透湿ルーフィングとは湿気を通す機能の付いた防水シートで、雨水の浸入は防いでも、湿気の排出に問題が出るわけではないため換気等にも悪影響を及ぼすことはありません。
隙間を埋めてしまうという事だけで言えばシーリングを充填するという方法もありますが、長くても10年程度で寿命を迎えてしまいます。透湿ルーフィングであれば高耐久のものを選択すれば50年以上の耐久性を期待できるものもあるため安心が長持ちするという点で言えば圧倒的に透湿ルーフィングを増し張りするほうが良いですよね。
水切り金具を設置し、雨仕舞を効率的に行う
棟の次に雨漏り原因となりやすい場所がケラバ(屋根の側面部分)です。
軒先同様、屋根の側面は外壁に直接雨が当たらないように、少し突き出ています。これによって外壁は雨から守られますが、ケラバは当然直接雨が当たります。
本来であれば勾配があるため適切に排水されるところを経年によってゴミや埃、土などが溜まってしまい雨水の排水の邪魔をしてしまえば雨漏りの原因を作ってしまう事になりますよね。
そうしたことを防ぐためにメンテナンスとしてケラバ専用の水切り(シール材付ケラバ水切り)を設置することもご検討下さい。ケラバ部分にゴミや埃が堆積することを防ぎ、雨漏りを未然に防ぐこともお住まいを長持ちさせるために重要です。
デメリット部分でも触れましたが、片流れ屋根は強風や台風に弱いという一面があります。2018年関西を襲った台風21号、2019年千葉で甚大な被害を出した台風15号などテレビ中継の映像を思い出すとゾッとしてしまいますが、屋根が飛ばされてしまった映像を数多くご覧になったという方もいらっしゃると思います。
だからこそ屋根の専門業者としては備えあれば憂いなしで、台風前にきちんとしたメンテナンスを行っていただきたいと切に思っております。ここでは台風の前にやっておくべきメンテナンスをお伝えします。
屋根が劣化していないかの点検
台風が来る前にやっておきたい片流れ屋根のメンテナンスとして、まず真っ先に考えていただきたいのが屋根の劣化状況を確認するために専門業者による点検を受けていただくことです。屋根材、板金部材、片流れ屋根の弱点部分など点検をして問題がなければ、「外に置いてある鉢植えを屋内にしまう」など一般的な台風の準備をすればいいですし、問題が見つかった時には補修をして備えることができます。
なお、自宅の屋根の状況を調べようとしてご自身で屋根に登るのは、非常に危険なのでやめましょう。
劣化が見られる場合は不具合に応じた補修を行いましょう
軽微な不具合で言えば屋根材の一部剥がれや浮き、板金部材の釘の抜け落ち、浮きなどが考えられます。軽微なと言ってもそれは台風前、現状で軽微な不具合なだけで台風の影響を受けることで、屋根材が全体的に剥がれてしまったり、板金部材が風で飛散してしまうといったことが当たり前のようにあるのが台風です。
屋根材の補修や交換、棟板金やケラバ板金などの板金部材は補強、交換をするなどして万全の状態に原状回復させておきましょう。
●片流れ屋根の棟板金交換
また新築から20年以上経過して、劣化が激しい場合は必要に応じて葺き替えやカバー工法といったリフォームを検討してみることもお勧めします。
外観の美しさと裏腹に、片流れ屋根が抱えるデメリットやリスクを見てきました。
もしかしたら多くの方がご不安になってしまったかもしれませんが、片流れ屋根と言ってもすべてのお住まいが雨漏りに悩まされるわけでも、台風被害にあうわけでもありません。日頃の点検を怠らずに、必要なメンテナンスを行えばきちんと皆様の安全を守ってくれます。
ご家族の安全はもちろんですが、お住まいの健康を長持ちさせるためにも気になる点がある、また台風前に不安があるという方は是非一度街の屋根やさんの無料点検をご活用下さい。お写真や動画にて普段は見ることのできないご自宅の屋根の様子や不具合などがあれば必要なメンテナンスのご提案をさせていただきます。是非お気軽にご相談下さい。
陸屋根のチェックポイントとメンテナンス方法まとめ
●陸屋根とは言え、ご自身で屋上に上ることは落下や怪我にも繋がるため危険です。セルフチェックは見える範囲にとどめ、詳細な点検は専門店にお任せください。
●陸屋根のチェックポイントとして排水口の詰まり、床面の色褪せや傷、ひび割れ、浮き、パラペット、笠木の傷みなどが挙げられます。
●陸屋根の防水は各種防水工事による防水層、そして防水層を保護するためのトップコートによって建物を守っています。
●トップコートの塗り替えは7年~10年を目安に行いましょう。
●部分的な小さな傷は不具合箇所のみを部分補修によって修復することが可能です。
●防水層は耐用年数に応じた、防水工事が必要となりウレタン防水で10年~14年、FRP防水、シート防水で10年~20年が目安となります。
●ベランダ、バルコニーのメンテナンスはもちろん、ビルやマンションの陸屋根のメンテナンスも街の屋根やさんにお任せください。
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