屋根裏・小屋裏換気・断熱、屋根リフォーム時に見直してみませんか?
更新日 : 2022年03月22日
更新日 : 2022年03月22日
三角屋根で、上階には天井がある。そんな多くの一般的な住宅に存在するのが小屋裏です。屋根裏・天井裏などと呼ぶこともありますが全て同じ場所を指す言葉です。天井より上、屋根との間にある空間ですね。多くの方は上がったことも見たこともない、普段はあまり気にされることなく過ごしているのではないでしょうか。
しかし小屋裏は住宅全体に思わぬ影響を及ぼすことがあります。「夏の2階が暑い。」「冬は結露で困っている。」「天井にシミが、もしかして雨漏り?」このような場合、小屋裏に原因、改善の余地があるかもしれません。
小屋裏を原因とする住宅トラブルやその改善方法についてご紹介します。特にこれから屋根リフォームや修繕をお考えの方は、小屋裏換気や断熱について今一度見直してみてはいかがでしょうか。
目次【表示】
小屋裏(屋根裏・天井裏)は、建物の形状にもよりますが屋根の勾配(傾斜)が急であればあるほど広い空間になります。
ログハウスなどは屋根が急ですがこういった建物は天井がない場合も多くその場合は小屋裏は存在しないことになりますね。
一般住宅でも、天井を取り払い広々とした空間を活かした内装にしたり、収納スペースを作っていらっしゃったり、「ロフト」と称してお部屋にしているお住まいも見受けられます。
そう考えると小屋裏なんてない方が良いようにも思えますが、小屋裏があることで良いこともあるのです。
断熱効果
直射日光を浴びる屋根、真夏の炎天下では表面が約80℃にもなると言われます。その温度が屋内にまで伝わってくると考えるとどうでしょう。冬の寒さも同じです。もちろん屋根そのものにも断熱性能を持っている屋根材もありますし、前述したロフトなどで活用する場合には屋根の裏側に断熱材が施工される場合もあります。
しかし小屋裏にて十分に空気の層を設け、天井の裏にも断熱材を敷くことで、より屋根からの熱の影響を抑えられるのです。暖房や冷房の効果も高まります。
防音効果
やはり小屋裏の空間と断熱材が防音効果を発揮し、上階での音が外に漏れにくくなります。屋根裏がない建物での騒音問題は意外とあるようです。
「小屋裏が断熱の役割を持ち暖房・冷房の効果を高める」という話をしたばかりですが、その効果が十分に生かされない場合があります。
特に夏、小屋裏に面した上階の部屋の温度が上がってしまうと面した部屋も暑くなります。 こういった場合には小屋裏に次のような原因があるかもしれません。
断熱材がない、劣化している
天井の上(小屋裏側)には通常断熱材が敷き詰められています。価格がお手頃な袋入りのグラスウールやロックウールを使用することが一般的です。グラスウールはガラス繊維、ロックウールは岩石などを原料とした繊維で、どちらもクッションのように空気を多く含んでいるため断熱性・防音性が高いのです。
しかし実はまれにこの断熱材が敷かれていないお家があるようです。また、断熱材があっても劣化してしまって効果が半減してしまっている、ということも考えられます。特にグラスウールは水分に弱いため、湿気や雨漏りで垂れてきた水を吸収してしまい痩せてしまったり、それにより断熱材同士の隙間が空いてしまったりということもあります。
夏の2階が異様に暑くなってしまう…そんな場合は断熱材の有無や劣化を疑ってみましょう。
<断熱対策のなかった小屋裏に断熱材設置>
小屋裏点検時、小屋裏に断熱対策が取られていないことが分かり、断熱材を敷くことになりました。小屋裏は夏の暑い日には60℃ほどになることもあります。グラスウールのマットエースを天井板全体に設置いたしました。
小屋裏換気が十分でない
熱がこもりやすい小屋裏では換気設備が重要です。しかし不十分だったり施工方法が間違っていたりすることで小屋裏の空気が停滞しがちになってしまいます。この熱気が室内に伝わりお部屋の中は暑くなっていくのです。
小屋裏換気については次の結露の問題とも関わってきます。
→小屋裏換気について詳しく
部屋がじめじめとする、暖房をつけていると窓や壁の結露がひどい、そんな場合には、小屋裏にも結露が溜まっていることも考えられます。
先ほどお話しした天井断熱があるおかげで、室内の熱は小屋裏側へ逃げていくことを抑えられます。ところが室内で温められ湿気を含んだ空気が天井と断熱材を抜けると一気に冷やされることになり、そこで結露が発生してしまうことがあるのです。
湿気や熱を小屋裏にため込まないよう、小屋裏換気は重要です。十分でない場合、湿気や結露が梁や屋根下地の野地板を濡らし、腐食させてしまう恐れがあります。天井にシミが出てきたので雨漏りを疑って調べてみたところ、結露が原因だったということもありました。
また、長年気が付かないまま放置していると、野地板の腐食によって屋根材の固定力が低下し、台風などの際にはがれてしまうなど大きな被害を生みます。
特に2×4工法で2階が吹き抜けになっているようなお住まいでは、室内天井から屋根表面まで30cmもないこともあり、湿気や結露で野地板が10年も経たずに腐食してしまうケースもありました。
そうなると、我が家は小屋裏換気できているのだろうかとご不安になるかもしれませんが、実は多くのお住まいには既にこの小屋裏換気の設備はあるはずなのです。
妻換気
「妻」というのは三角屋根を正面から見た側、雨樋(軒樋)がない側のことです。妻側の壁の上部にスリットの入った飾りや穴のような部分(ガラリといいます)が設けられているのを見たことはないでしょうか。この小窓が小屋裏の換気口として機能しています。湿気や、上方にたまった熱気を逃がすことができます。
軒裏換気・軒換気
外壁から突き出した屋根の裏側が軒天です。多くの場合、軒天には化粧板が貼られていますが、ここに換気口や有孔ボードを設置するのが軒裏換気です。しかしこれだけでは換気の効果はあまり期待できず、他の換気方法と併用することで吸気口となり、小屋裏換気の効率が高まります。
軒天材の劣化で張替えが必要な際には検討してみましょう。
棟換気
屋根の頂上(棟)部分に換気棟と呼ばれる部材を設置するのが棟換気です。お住まいの一番高い位置に取り付けられるので湿気や熱気の排出には一番効率が良い方法です。
雨が当たる屋根の天辺に換気口をつけると雨水が入り込むのでは?と心配される方も多く、実際、屋根に穴をあけて設置するのですから、正しく施工されないと雨漏りの原因となってしまうこともあります。そのため、リスク回避のため新築ではおすすめされないこともあるようです。
しかし換気棟そのものは、雨が入り込んでも両側へ排出できる仕組みになっています。施工は経験豊富な屋根工事業者にお願いするのが良いですね。
片流れ屋根や瓦屋根など、ほとんどの屋根の形や屋根材で設置は可能です。屋根リフォームの際や、棟板金を新しくする際にはぜひ検討したい小屋裏換気の方法です。
<実例1> 屋根葺き替えと併せて換気棟設置、水切り設置で雨漏り防止
スレート屋根に葺き替えの際、換気棟の設置をご提案いたしました。これまで棟換気がなかった屋根に換気棟を取り付けるには、そのための穴を空けなくてはいけません。5cmほどの幅で屋根下地を切断します。
空けた穴の両側に「捨て水切り」を取り付けます。水切りとは雨水を正しく流すための役割をするもので、換気棟設置の際には非常に重要です。換気棟の通風口から入る雨水を屋根面に流すことで雨漏りになるのを防ぎます。
換気棟本体を取り付ける際にも、捨て水切りとの隙間はしっかりとシーリングで塞ぎます。最後に、端に専用の板金カバーを取り付け、さらにシーリングで止水し完了です。
<実例2> 瓦屋根でも換気棟は設置可能です
瓦屋根から新しい瓦へ葺き替えの様子です。換気棟設置のため、敷設したルーフィングごと切断し、幅30㎜×長さ900㎜の穴を空けました。
穴の上から換気棟をかぶせます。瓦屋根に使えて錆にも強い「カンキ棟A(エース)」という製品で、1つで天井面積43.68㎡の換気能力があります。今回は2つ取り付けました。
最終的にはこの換気棟を隠すように瓦を積んでいきますが、十分な小屋裏換気が期待できます。
通気性の良い昔ながらの和風住宅では、小屋裏換気を考える必要がありませんでした。しかし住宅の気密性が重視されるようになり、冷暖房機による室内気温が保たれる一方で、小屋裏の問題も多く発生するようになりました。
もともと軒裏換気が設置されているお住まいも多いかと思いますが、軒裏だけでは効率の良い吸気と排気ができないのが実際のところです。最も効率の良い棟換気は、近年やっと新築でも取り入れられることが多くなってきているようですが、まだまだ普及率が低いのです。
お住まいの小屋裏換気や断熱は十分でしょうか?屋根工事や屋根リフォームの際にはぜひ小屋裏について見直してみてください。小屋裏の環境を見直すことでお住まいの快適性がグンとアップする可能性があります。
街の屋根やさんでは、ご希望に応じて小屋裏の点検も行なっております。お住まい全体の状態をチェックしより良い工事やリフォームをご提案させていただきます。ご不明点やお悩みがございましたら街の屋根やさんまでなんでもご相談ください。
小屋裏換気・断熱、屋根リフォーム時に見直してみませんか?まとめ
●普段は気にすることのない小屋裏(屋根裏・天井裏)かもしれませんが、断熱や防音の役割があります
●夏の2階がとても暑い、冬は結露や湿気が多い、等のお悩みがあれば小屋裏の環境を確認しましょう
●湿気や熱気を小屋裏に溜めないよう、小屋裏換気は重要です
●特に換気棟を取り付けることは小屋裏換気に効果的です
●お住まいの問題は小屋裏換気や断熱を見直すことで改善するかもしれません。屋根リフォームや屋根工事の際にはご検討ください
この記事の監修者
富田 功義
▼保有資格
2級建築施工管理技士・雨漏り診断士・一般建築物石綿含有建材調査者
20,000棟以上の施工実績を持つ『街の屋根やさん』多摩川支店の支店長。
赤外線カメラを使用した雨漏り調査など、幅広いお悩み事に対応可能なリフォームアドバイザー。
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